2019/02/02
第80回 オークス(GI)出走予定馬展望
日程:2019年5月19日(日)
コース:東京芝2400m
予想用・出走予定馬一覧
シェーングランツ(武豊騎手)
昨年のアルテミスステークスでは強烈な末脚を披露していたシェーングランツが武豊とのコンビでオークスに出走予定だ。ここ3走は存在感を見せることができず、尻すぼみのパフォーマンスとなっている。距離延長と府中の長い直線で鬱憤を晴らせるか。
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ゲートが甘いのでアルテミスSみたいに展開が嵌ってくれないと難しい。距離延長はその点では良いと思うが、それでポジションを取れるかどうかというのはまた別問題だし、超高速馬場だった前走の桜花賞で切れ味を増したというわけでもないからね…。
アルテミスS(GIII)1着
東京芝1600m良 15頭2枠3番
1:33.7 46.2-47.5 H^1
12.3 – 10.4 – 11.2 – 12.3 – 12.5 – 11.8 – 11.4 – 11.8
4走前のアルテミスS勝ちから振り返りたい。このレースがいわゆる典型的な中弛みの外差しが嵌ったパターンといえる。ペースは1.3とハイペースだが前半3Fが33.9と非常に速かったことで4F目で12.3と一気に落として帳尻を合わせただけ、前の馬には非常に難しい競馬になったし後ろの馬にとっては3~4角で12.3-12.5と緩いところで楽に取りつくタイミングがあった。
3番枠から出負けして後方からの競馬となる。道中も後方で進めていたが前が前半はかなり引っ張るので無理せず進めて3角。この辺りで前が一気にペースダウンしたので後方馬群の中目から我慢していても勝手に馬群が凝縮して後方から直線。序盤でそこから進路を外に誘導してジリジリと伸び始める。そのままL1まで脚を維持して前のビーチサンバを楽に捕えた。
基本的にこのレースでは前半あまり無理をしなかった馬が有利だったと思うし、この馬が出負けからあの位置になっても届くだけの条件が揃っていたと。中弛みは後ろの馬が届きやすいのだが理由としては前半はそれなりに流れているので出負けしても馬群に取り付いてスピードにはある程度乗って入れる。そこから中盤で前が勝手にペースを落とすのでナチュラルに差を詰めることができるし、前半がハイの部分で脚を温存できている、また緩んでからの再加速に対して前で減速している馬よりもスピードに乗った状態で入れるという様々な面で優位に立ちやすい。今回この馬は直線で進路取りをしているのでギアチェンジ面に関してはある程度問われていると思うが、前半でそこまで脚を使わず中盤で差を詰められたという点では中弛みの恩恵は受けていると。この一戦を高く評価するのは危険だが、敢えて言うならマイラーとしての資質より中距離的な競馬だとは思う。
チューリップ賞(GIII)5着
阪神芝外1600m良 13頭5枠6番
1:34.6(+0.5) 47.8-46.3 S^1
12.7 – 11.1 – 11.7 – 12.3 – 12.1 – 11.3 – 11.0 – 11.9
2走前のチューリップ賞がスローからの後半3F勝負という中で普通に伸びきれなかった。1.5と明確にスローだったしL2最速11.0と速いラップを要求された。中盤は緩んでいるとはいえ前半3Fも35.5なので特に速くない。前半で良いポジションを取った馬が特に無理なく入れているという点で違いがある。
6番枠からまずまずのスタートを切っていたがそこから控えて後方へ下げていく。道中もスローの流れの中でコントロールしながら3角へ。3~4角でも中団の外目から促しながら直線。序盤の最速地点で鞭が入って追い出されるが伸びは地味。L1までそれなりには伸びているが、外のシゲルピンクダイヤにあっさりとかわされてなだれ込むだけの5着完敗。
ここでは特に前中盤で大きな差がなくゆったりとした流れだった。中弛みと違って一貫して緩かったので前を取った馬も当然余力があった中での後半決め手勝負。その中でトップスピードの質・持続力ともに少し見劣った感は否めない。少なくともスローでの決め手勝負ではシゲルピンクダイヤには完敗だったと思うし、アルテミスSは前半が流れた上での中弛みなので後半は最速ラップでも11.4。この違いからも質的に足りない可能性を考えないといけない。ただここではいいスタートを切れていたし、個人的には前を取ってほしいんだけどね。
桜花賞(GI)5着
阪神芝外1600m良 18頭1枠1番
1:33.7(+1.0) 47.7-45.0 S^3
12.2 – 11.1 – 12.1 – 12.3 – 11.7 – 10.8 – 11.0 – 11.5
前走の桜花賞はもっと極端な決め手勝負となったが、案の定の完敗だった。これに関しては敗因としてはダノンファンタジーに近いかな。あの位置から決め手でどうこう、というレベルの競馬はできないと思う。まあそれでも流石に一叩きでパフォーマンスそのものは少し上げてきているとは思うが…。
1番枠から五分には出ていたが内枠でもあり前のノーブルスコアが下がってきたので後方からの競馬となってしまう。道中もドスローの流れで後方で下げ切ってから中目を進出。3~4角で後方中目から直線でアウィルアウェイの後ろを通して大外。序盤から伸びは地味、L1ではそこそこ伸びてきていたが位置取りが悪すぎた。
チューリップ賞では意図的に下げたが、恐らく桜花賞では不可抗力。内枠でゲートがそこまでよくなかったし岩田得意の前に入ってペースダウンのパターンに巻き込まれてしまったので下げざるを得なかった。まあそれでもチューリップ賞と比べればパフォーマンス的にはマシなので叩いて幾らか上昇してきたとは思う。少なくともTS持続力は良いものを見せていたと思うので、これを引き出す必要はある。またやはりトップスピードの質的に超高速馬場では微妙なところ。なのではっきりとポジションを取って後半要素だけで勝負しないことが求められる。
オークス2019への展望
桜花賞の競馬は武豊も不本意なポジショニングになったという認識だろうと思っているし、そもそも桜花賞はある程度ポジションを取りたかったような入り方だった。いわゆる本番仕様の競馬をしようとしたらゲートがそこまでよくなかったので巻き込まれた感じ。いずれにせよこのゲートの不安定さを克服できないと良いポジションは安定してとれないのでそこは課題だろう。今回は2400に延びるけど、ポジショニングに関して言えば幾らかは楽になるだろうし、出していっての折り合い面でどうか?という点も怖がって良い馬ではないと思う。リスクを背負ってポジションを取っていかないとこの馬のトップスピードの質では今の超高速府中で互角以上というのは臨めないだろう。
ただ超高速馬場自体はアルテミスSで結果を残せてはいる。中弛みで噛み合ったのはあるが、最後までしぶとく伸びてきたし上がり・時計的にも悪くはないからね。桜花賞で超高速馬場の中である程度TS持続を高めてきていることからも、高速馬場適性そのものは高いんじゃないかなと。個人的にはダノンファンタジーを目標にしながら好位ぐらいを確保、3~4角でダノンが仕掛けるところをついていく、あるいはダノンが動かないなら自分で勝負に行く、というようなスタンスで勝負してほしいかな。東京2400の場合単騎で逃げる馬がハイ~平均にはなっても全体の流れで平均まで上がるということはまずなかなかないので、好位ならばスローだという前提でも良いぐらい。それぐらいのつもりで良いポジションを狙ってほしいかな。ポジショニング次第ではワンチャンスあっても良いと思う。桜花賞よりは可能性は高いんじゃないかな。一応現時点では連下~3着ヒモ穴ぐらいで考えたいが、できれば中目の枠でポジションを取っていきやすい並びなら。