2019/02/02
NHKマイルカップ2019のレース回顧・結果
東京芝1600m良
1:32.4 45.8-46.6 H^1
12.0 – 10.4 – 11.5 – 11.9 – 12.0 – 11.3 – 11.3 – 12.0
展開分析・総評
う~ん…いやまあ、今回のルメールの降着は馬券絡んでないからとかじゃなく、これをするならJRAも徹底してほしい。JCのジェンティルドンナのケースは今回の裁決ならアウトにならないといけないからね。前カットではなく横同士での接触による降着というのはこれまでケースとしてほとんどなかったから、これで降着・斜行にするならしっかりとどのケースでも(馬券の範囲内でも)適用してほしい。
それと、個人的にはダノンもあれがなかったら先着できたか?というと微妙だと思う…。L1の最後の方はグランの方が踏ん張っていたからね。そりゃあれをしなけりゃ詰まって出られないとかそういう可能性としては別だが、JRAはそこの可能性はこれまでも無視してきていた。今更そういう考えはないと思うし、あのレベルで降着してしまうと今後結構大変だと思うんだけどな。どうも着差だけで判断している気がする。今回の降着の問題はこの2点で色々疑問があるね。まあこれを斜行と認定するのは良いことだと思うんだけど、この脚色で降着までしてしまうとこの程度ならこれまでの事象と整合性が取れないことがあまりにも多すぎる。例えばダノンバラードのAJCCなんかのケースみたいに不利を与えるなら前をカットして下げ切って前に出られないようにしないといけないって感じになる。あの時のトランスワープなんかはL1の脚色で明らかにチャンスがあったのに審議すらなかったわけでね。降着制度はどういう形にしても不満は出ると思うけど、一貫はしてほしい。
それはともかく、今回のNHKマイルCを一言で表すのであれば、グランアレグリアが飛んでケイデンスコールが突っ込んでくるような流れだった、というのが正しいかな。雹の影響をと思ったら午前中から結構ペースを引き上げて意外にも好時計が連発していた。その中で各機種の意識があまり下がらなかった。このNHKマイルCは全体でみればややハイなんだが入りの3Fは33.9なので激流といっていい。そこで飛ばしすぎた前が11.9-12.0と4-5F目で息を入れた。いわゆる中弛みの展開になったので、先行勢にはかなり難しい競馬になったと思うし、外差しの展開になったと思う。グランは負けたけど力をつけてきているのは感じる4位入線だったし、アドマイヤは逆に出負け気味になったことが結果としてよかったかもしれない。展開に恵まれた、嫌われた馬の明暗が結構出たような気がするね。
1着17アドマイヤマーズ(M.デムーロ)
出負けして後方からの競馬、そこからすぐに押してリカバーの意思を見せるが前が速く、中団外目までで我慢の展開。道中はコントロールして無理はせずに中団外で3角。3~4角で前がペースダウン、中弛みが生じている中でじわっと外から取りついていき、4角で促して勝負に行く。それでも序盤はまだ中団列で、外から鞭が入ってジリジリと伸びてきた。L2でもまだ2列目でジリジリだったがL1でしぶとく伸びると外のケイデンスコールの追撃を振り切って2歳王者の威厳を示した。
流石にゲートで( ゚Д゚)ミルコェェェと思っていたよ。スタート後は勝つまでは難しいかなと思っていた。ただ、結果的にだけど前半が激流になって33.9の表記が出たときにこれは外差しのチャンスあるかもと思ってちょっと気を取り直した。前半があまりにも速すぎて中弛みが生じているのがわかるぐらいに4角で好位列が凝縮していて、そこで外から動く判断を取ったミルコの強気の仕掛けが勝因ではあったと思う。あれでも少し反応が鈍くて再加速の地点ではまだジリジリだったしね。中だるみ地点でで戸崎みたいにビビッて馬の後ろに入れていたらまず勝ててない。腐ってもミルコやで、というのはそういうところかな。これをきっかけにして調子を戻してほしいね。良い判断だったと思う。
馬に関して言えばやっぱり高いレベルまで来ると持ち味はTS持続力の高さになるのかなと。L2の地点では接戦になりそうだなと思っていたんだが、L1の減速地点でやっぱり抜け出す脚を見せてくれたからね。ゲートの良さ、前目からTS持続をというのが今回は出負けで崩された形になったが、前半無理のない範囲で進められて中弛みで取りつけたのも良かったんじゃないかなと。それでも強かったと思う。
2着18ケイデンスコール(石橋脩)
まずまずのスタートを切ってそこから各馬の出方を見ながら、軽く促しつつだがやはり後方からの競馬となる。道中も後方の外目で進めてファンタジストを見る形。3~4角で中弛みが生じたところでファンタジストの後ろを通して直線。序盤で勢いをつけてファンタジストの外に持ち出すとL2で伸びてくる。L1で最後までアドマイヤとの差を詰めるが差すところまでは難しく、カテドラルとは接戦の末2着を確保した。
このレースはもうケイデンスコールが来た時点で予想的にはノーチャンスだった。実際中弛みとはいえこれだけ流れた中で脚を使って直線で弾けるイメージも全くわかなかったし、毎日杯のパフォーマンスも個人的には物足りなかった、レベル的にも?が付いたからね。だから仕方ないかな。冷静に今回のパフォーマンスを分析すると、やっぱり嵌ってはいると思う。基本的には前半が非常に速く中盤で緩んでいるのでこの前中盤をフラットには入れたほうが良いから後方外でスピードに乗せやすい状況で直線に入ってきたのも含めてよい流れだったと思う。とはいえ、その前にいたファンタジストやハッピーアワーを撃破しているわけでね。なのでフロックとも言い切れないのはその辺になる。アドマイヤマーズとの比較でみれば着差通りの差はあったと思うが、新馬戦で見せたパフォーマンスは片鱗としては確かにあったのかもしれないなぁ。まあでもここで狙うのは自分には無理だった。
3着10カテドラル(アヴドゥラ)
今回も出負けして促しながらポジションをじわっと挙げていくという感じで中団馬群の中目で進めていく。道中も中団の中目で進めながら3~4角でも内内、グランアレグリアを目標にするような感じで直線。序盤で中目のスペースが空いていたのでそこを突いて徐々に伸びてくる。L2で上手く2列目の隙間を縫ってくる、最後は外のアドマイヤにかわされ、さらにケイデンにも差されたが3着は確保した。
展開的には中弛みの中で中団で進路が確定できていない状況だったので完全にかみ合ったわけではないが、それでも直線に入って中目のスペースががっぽり空いていてそこでスピードに乗せながらL2で2列目の隙間を取れたのはかなり大きかったと思う。その点では恵まれたかな。上手くスペースを拾える位置までリカバーしたアヴドゥラを評価すべきところもあると思う。ただそれでもかなり流れていたと思うし、31秒台まで行かなかったけどこの時計のレベルでしっかりと足を引き出せた点は評価したいかな。
4着03ダノンチェイサー(川田)
五分のスタートから促して二の足で先行、それでもあまり無理はせず、グランを前に入れて好位の内内で進めていく。3角手前でグランの外に出してそこでじわっと進出、4角で外に誘導してアドマイヤの内で中団に近いところで直線。序盤でグランに内から接触を受けてそこからはグラン・アドマイヤの間でしぶとく食らいつくが、L1は甘くなって5着まで。
馬券関係ないし客観的な立場として見やすい事象だが、個人的には…接触の影響がなかったとは言わないけど、限定的だったとは思っている。L2の地点で受けているがここではレースラップ的に見てもトップスピードにすでに乗っている段階ではあるし、後ろ方向への不利ではなく横からの接触なので。坂の途中でのものではあるし、難しいところだが正直降着すべきだったかは疑問の方が大きいかな。まあ、それはそれとして、顕著に高速馬場の中で3~4角で内から外に出して直線に入ってきたがそこからの末脚を引き出すところがなかなか簡単ではなかったように感じた。不利を受ける前に加速が問われているがここでの反応はそこまでよくなかったからね。まあきさらぎ賞とここで全体のレベルがどうか?というのはあるけど、高速マイルはちょっと忙しかったかな。こうやまき賞ではL1で来ていたけどここではL1で甘くなっているので上位勢との比較ではやはり少し力負けな面もある。個人的には不利を考慮に入れてもグランの方が強い競馬をしているとみるべきかな。
5着07グランアレグリア(ルメール)
出負けしてそこからのリカバーという形で先行策、二の足で3番手まで上がっていく。ただ出負けで出していったことで馬にスイッチが入って掛かりながらの追走。3~4角で中弛みが生じたところで2列目の内で我慢せざるを得ずペースを落とす。そのまま結局好位列の中目で進める形。直線で進路がないので外にいたダノンにぶつけて進路を無理やり確保。そこから追い出されるがなかなか伸びる感じはない。最後までジリジリとくらいついてはいたがそれでも4位入線、斜行で5着降着となった。
個人的には今後も明らかな横への馬体ぶつけも降着で良いとは思うが、これまでの事象から考えるとこれは異例の降着・斜行認定は微妙かな。ただ皐月賞の時とは違って明らかに悪意を持ってぶつけているのは間違いないしこれは問題。岩田ックルがこれまで許されてきていたからルメールもやっているんだけどね、これで降着にしたなら今後もしっかりと適用してほしい、というのが本音。
馬の評価としては、展開に泣かされて4位入線なので個人的には頑張ったな…というのが率直な感想。前半3Fが33.9という中で出負けしたのはアドマイヤと同じ。無理をしなかったミルコと、そこでリカバーを試みたルメールとの差がまず一つ大きく出た。出負けから押していってハイペースの流れに乗ったことで馬にスイッチが入ってしまったし、3~4角で急激に減速する中で内で包まれていたのでブレーキせざるを得ない。あれだけ脚を使ったのに直線入りではアドマイヤと同じ位置だったということを考えても3~4角での展開の綾はこの馬にとってはマイナスに作用したと思っている。そこからの再加速で進路確保で意図的に斜行をしたわけだけど、そこから頑張って食らいついていたし、アドマイヤマーズとの比較で考えると朝日杯とは雲泥の差かなと思う。朝日杯は完敗だったからね。今回は強い競馬をして展開が合わずに負けたけどよく頑張っている。かかったのはやっぱり思いっきり出していってしまったのが響いたと思うね。ゲートが安定しないのがこの馬の弱点だと思う。陣営がスピード職が強いというような感じの判断をしているけど、個人的には前半はもう少しコントロールしたほうが良いタイプだと思うんだけどね。オークスではなくここを選んだというのは、個人的にはあまり陣営のこの馬の適性を見る目がない感じはしている。まあ、それでもかなり強かったと思うし、展開が噛み合っていたら脅威だったと思う。高速馬場が合うのは間違いないんじゃないかな。それと桜花賞はやっぱ極端に超高速化したんやろうと、これで確信できた。
10着06グルーヴィット(レーン)
五分のスタートから促しながら追走、中団馬群の中で進めていく。道中もダノンチェイサーの後ろぐらいで進めて内目で3角へ。3~4角でグランの後ろを狙いながら外目に誘導して直線に入ってくる。序盤でグランの内のスペースを狙おうとするがL1で進路がない状況に。最後までジリジリとは食らいつくが10着完敗。
最後まで進路を確保しきることができなかったからね。これが進路があったときにどこまで伸びてきたか?というのはあるかな。手ごたえ自体は結構あったっぽいからなあ。マイルでこの流れでも中団では入っていけたし基礎スピード面は通用したと思う。今後注目すべき一頭になるかな。力負けではないと思う。
15着15ヴィッテルスバッハ(戸崎)
五分に出ていたが二の足が速くないのでじわっと下がって後方。道中も後方の内に入り込んで我慢して3角。3~4角の中弛みで最内のスペースを詰めながら中団で直線。序盤で最内に進路を取って追い出されるとそこそこ伸びる。ただL2で前にいたイベリスが下がってしまって進路なく外に誘導も前が壁。追われていたが伸びもなく失速した。
まあ15着まで失速してしまったので進路があったとしてどうか?というのはあるが、やっぱり戸崎は詰まるよね…。ただこれをするしかないってぐらいの展開ではあったと思うし、ダメだったけど仕方がないかな。結局このペースではこの馬本来の切れ味を引き出すにはちょっと速すぎたかな。

