2019/02/02
高松宮記念2019のレース回顧・結果
中京芝1200m良
1:07.3 33.2-34.1 H^1
12.0 – 10.1 – 11.1 – 11.4 – 11.2 – 11.5
展開分析・総評
キングヘイローは気まぐれだからサインは素直ではないだろうと思っていたが、ダイメイプリンセスではなく祐一の方やったね。祐一はキングヘイローが後押ししてくれたのもあるかも、といっていたが本人のキングヘイローへの気持ちが強く出たんじゃないかなと思っている。ああ見えてそういうことをすごく気にしている人だと思うからね。キングヘイローへ、餞別の勝利というやつかな。難しいレースだったけど、祐一がここで勝ったのは良かったと思う。
う~ん…正直、上位3頭の中で一番ミスターメロディが狙えなかった…。1200の適性面という点でほとんど未知数だったし、穴目ならともかく3番人気でとは…という感じで実際に来てしまったな。セイウンコウセイは拾えなかったが函館スプリントSが示すようにハイペースそのものは実績があったのでそこまでペースも上がり切らなかったしその中でよかったのかなと。ショウナンは狙っていたのでこれだけはばっちり。ただこれは取れんなぁ…
展開的には外から行き切ったモズスーパーフレアだが、ペースを少しコントロールする意識が働いた。それでも今週の馬場を考えて33.1なら最低限のペースかな。もうちょっと引き上げないと、という結果ではあるんだけど。
1着03ミスターメロディ(福永)
五分のスタートから促しながらポジションをとっていき、ラインスピリットより前のポジションを3角までに取り切る。3~4角で好位の内内から我慢をしながら、4角でセイウンコウセイの後ろから直線でそのセイウンが伸びながら外によれてくれたのでその内のスペースから伸び始める。そこから最後までしぶとく踏ん張って体半分、リードを保ってのGI勝利となった。
余談だけど、キングヘイローの呪いシリーズも大団円で完結したなと思う。もともとはディヴァインライトの高松宮記念でキングヘイローが外から一気に差し切って祐一のGI初制覇を防いだ「一番いてほしくない馬が前にいた」から始まったわけで…。そこからはキングヘイローに乗ってはGIで勝てず、そのまま引退。そこから年月が過ぎてフサイチパンドラという有力馬に出会ったが、その前にはキングヘイロー産駒のカワカミプリンセスが立ちはだかった。パンドラの初勝利はカワカミの斜行降着での勝利で、祐一の勝利インタビューの微妙さからも伝わってきたように、ケチが付く勝利。そんな紆余曲折がありながら、キングヘイローが死んだときに、こうやって一番キングヘイローのことを思っていた人間が勝利をするという。
前にも書いたけど、呪いとはつまりトラウマ。キングヘイローを勝たせられなかったという自責の念と、だからこそダービーを意識しすぎての折り合い恐怖症が生まれた。ダービー制覇の時に書いたけど、その呪いを解き放てたからこそダービーを勝てたと思う。ダービーを勝った祐一を見届けてから逝ったキングヘイローと、そのキングヘイローに餞別の勝利を送った祐一。キングヘイローがそこまで思っているはずはないと思いつつも…でも実際そうなっているからね。これ以上ないコンビだ。ある意味、キングヘイローという馬に囚われ続けてきた一番の人が福永祐一だと思うが、このお話はこの勝利でハッピーエンドを迎えたと解釈していいんじゃないかな。本が一冊できてしまいそうな、そんな素敵なドラマだったと思う。もちろんそこまで考えているのはごくごく少数だと思うけど、競馬って…いいよね。だからこそ、若手騎手も頑張って良い馬に乗ってほしいし、騎手の思い入れはそのままファンにも伝わる。あの頃の競馬が面白かったのはそこにあるとも思う。
さて、感傷的な話がメインになってしまったが、正直言ってなんでここでミスターメロディが来たのかわからない。人気もしていたし、内枠は良いと思ったがそれだけで狙えるか?といわれると…敢えて言えば、運が良かったのと運を引き寄せた福永の騎乗。まず重要だったのが最序盤のポジショニングで、大きかったのはラインスピリットの前をとれたこと。レース展開予想の段階でラインが前に行くだろうと思っていたし、それより前をとってくるとは…という祐一の英断を褒めないといけないと思う。そしてもう一つの運は直線やね。まず普通にセイウンコウセイが延びてくれたことと、外に一瞬よれてくれたことで進路が楽々とれた。最短距離を通して上手く進路を確保できたという状況が大きかったと思う。あとはやっぱり内の馬場が有利だったんじゃないかな。ショウナンアンセム辺りも最後まで結構伸びてきているからね。結果的にちょうどいい位置で、内目を立ち回れた馬が上位という競馬になっている。噛み合った中で有力馬が流れをうまく作れず崩れた結果、福永とミスターメロディに運が転がり込んできた…という解釈になってしまうかな。
2着04セイウンコウセイ(幸)
好発を切って押して主張しハナ、しかし外からモズが競ってきたので最終的には無理をせずに控えて2列目の内。3~4角でも上手く内内でモズの後ろをとって直線で外。序盤で追い出される瞬間少し外によれて、このスキを後ろのミスターメロディにつかれる。L1で前に出られ、踏ん張り続けて2着は死守。
う~ん…ここで完全復活とは…。さすがにここ数走が悪すぎて買えなかったが、もともとはハイペースでもやれる馬だからね。時計勝負に高いレベルでは対応できない馬だと思っていたので軽視したが、やられてしまった。まあ流れの中で上手くバランスをとれたと思う。最序盤で良いスタートを切って主導権をとりつつも、外のモズが競ってきたので3~4角でしっかりと最内を通しながらスピードをコントロールして入って直線でスムーズに外に出す競馬ができたからね。敢えて言えば直線入りで外によれなければミスターメロディは進路で相当苦しんだと思うのだが、この辺りがキングヘイローの後押しなのかもしれない。
3着07ショウナンアンセム(藤岡康)
五分のスタートから前半無理はせずに中団やや後方に下げていくような感じで進めていく。3~4角でも中団馬群の内目で我慢しながらコーナーワークでロスを最小限に押し上げて直線。序盤で進路がなく苦労していたが、置かれない。L1入りで進路確保して内からするすると伸びてくるが僅かに及ばず3着。
イメージ通りの競馬をしてくれたと思うし、展開も結局そこまで上がり切らなかったのでこの馬のバランスでは後傾で入れたこと。これはかなり大きかったかな。これ、噛み合い切ってたら勝ちまであったと思っていて、L2で再加速の段階で進路があれば一気に抜けたと思う。進路がなかったのでL2の坂の登りでの加速ラップで置かれず窮屈になってしまっていた。この坂の登りでの反応が非常に良い馬で府中でたまに爆発しているけどその辺が大きい。余力がある状況でいかにトップスピードに乗せてくるか。この3着は展開的に噛み合ったのが大きいとは思うが、1200でもこうやって前半無理せず脚を残せれば鋭く反応できるというのは見せたし、軽い中京1200はベストに近いんじゃないかなと思う。この馬だけでも来てくれて本当に良かった。
4着13ダノンスマッシュ(北村友)
五分には出て、そこから促しながらポジションをとって好位の外ぐらいでバランスをとってくる。3~4角で2列目外に並びかけて勝ちに行って直線。序盤でそこから追い出しを待ちつつだが、おいださsれてもそこまで伸びてこずジリジリ。L1で内3頭と比べて最後までそれなりに差を詰めているが4着。
この展開になってしまうと3~4角で外からというのはやっぱりしんどいね。とはいえ、それでも勝ち切るタイプの馬もいるわけで、この馬としては何か突き抜けるほどの武器は持っていなかった、外枠を覆し切るだけのものはなかったということだと思う。ただ、逆に言えば内枠で上手く嵌れば立場は全く違ったと思うしね。力差という点でみれば負けはしたけど強さは見せたと思う。ちょっとした運の違いが今回は影響した4着じゃないかな。まだ抜けた存在ではないけど、ペースが落ち着けばやっぱりトップレベルの馬だと思う。馬は強いけど、今回に関して言えば条件が悪かったね。
5着05ティーハーフ(国分優)
五分のスタートから押して押して追走といつもより積極的な入り方で中団付近で進めていく。3~4角でも中団の中目でブレーキしながらスピードを調整しつつ直線。序盤で馬群の中目で包まれてスピードに乗せきれず。L1手前で進路確保からそれなりにくらいつくが5着まで。
う~ん…これ難しいけど、この馬としてはもう少しポジションを抑えたほうが良かったかもしれんね。この辺りは一度説明したいところなんだけど、ポジションをとってしまうと前に行くほど仕掛けのタイミングが遅れやすくなる。後ろにいるからスペースを詰めながらスピードに乗って進路を選んでいけるからね。この馬は中団でポジションをとったことで3~4角でスペースがなくなってしまった。なので前の流れに合わせる形になったので3~4角でブレーキをしていたと。直線でそこからスッと加速するのと、3~4角でスペースを詰めながらスピードに乗せて入ってくるのとでは違うし、特にティーハーフの場合は前半死んだふりでもトップスピードの質を最大限まで高めてから、その惰性で突っ込みたいタイプ。坂の登りでも進路が作れなかったので惰性をつけきれないままになってしまった。嵌っていたらもっとやれたんじゃないかなと思う。千載一遇のチャンスだと思っていただけに、前半の積極的なポジショニングが裏目になってしまったかなと…。
6着08レッツゴードンキ(岩田)
五分のスタートからある程度促しているが前には行けず、後方に下げる形で内に。道中も後方内目で立ち回りながら、3~4角でも後方内目から中目を通しながら直線。序盤で進路がなくかなり待たされる。L1でやっとスペースができて追撃してきたが6着。
う~ん、噛み合わず。まあここ2年が噛み合っていたのもあるし、内の各馬がみんな手応え良かったから逆に進路ができなかったよね。あの位置からになってしまうと難しいし、捌けていれば違ったけどL2で差を詰めたいところで待たされてしまったからね。今回に関しては積極的なポジション取りという行為と気持ちキングヘイローが福永に運を引き寄せたと考えるべきかな…。ドンキも押してはいたんだが、さすがに軽い馬場でこのペースだと前半の基礎スピード面での難しさがあるのかな。阪急杯では楽だったけどなあ。
8着12ロジクライ(ルメール)
やや出負け、押しているがなかなか前には行けず、それでも中団に入っていこうとするが、3角で少し不利を受けて下がる。そのまま3~4角で中団馬群の中で我慢しながら中団で直線。序盤で外目に誘導して上手くダノンの後ろをとってくる。しかしL1までジリジリで伸びとしては地味、なだれ込んでの8着完敗。
ロジクライは普通に1200は短い、という感覚通りの負け方だった。追走に苦労していたし外枠で良い位置を取れないと3~4角もあんな感じになっちゃうからね。それでも直線で進路を作ってくるあたりは流石ルメールだし、そこからはそれなりには脚を使っているけど。これも内枠だったらもうちょっとましだったと思うし、今回は結構枠の差が大きく出た気がするなあ。1200は短いと思うし、一度ワンターンの1800で積極策を取ってほしいんだけどね。
9着06アレスバローズ(川田)
まずまずのスタートを切ってある程度促しつつ好位の一角で入っていくが、3角手前で少し狭くなる。そこから3~4角でも好位の中目で我慢の展開、窮屈になってブレーキ気味、スペースがない状況で直線。序盤で進路を取りたかったがダノンの後ろをとるもののブレーキを踏んでしまう。そこからの追い出しになるが反応鈍く、そのままじりじりとした伸びで9着。
う~ん…まあ展開が合わなかったのはある。もっとモズが飛ばすとは思っていたし、変な感じになったので3~4角で息が入ったところである程度ペースが上がるとあてにしていた各人がブレーキしている感じになったからね。メカニズムとしてはティーハーフと同じで、惰性を活かしたいのにスペースがなくなって進路がなくてブレーキしながら直線まで入ってきているから末脚を最大限に引き出し切れなかったという結果。まだティーハーフは直線の段階では良かったけど、アレスバローズは直線でダノンの後ろをとったらダノンが言うほど伸びなかったからそこでブレーキする感じにもなって坂の登りに入るという最悪の形だからね。自転車で坂を上がるときに、しっかりとスピードに乗って上がるのと、その手前でブレーキして上がるのとでは全然違う、という物理的な話になる。一番まずい入り方になったからね。まあ川田を攻めるにはちょっとかわいそうな展開と枠だけど、突き詰めればちょっと前半が中途半端だったと思う。この馬にとって重要なのは3~4角でいかにスピードに乗った状態にもっていくか。前半のポジションはペースによるけど、このメンツならそこまでこだわらなくても良かったかなあ。まあ難しい競馬ではあった。
15着15モズスーパーフレア(武豊)
五分のスタートから押してハナを主張、内のセイウンも速いがこれを制して何とかハナを奪い取って3角。3~4角でも単騎気味に進めて少し息を入れつつ4角出口で仕掛けを待って直線。序盤で追い出されるが明らかに甘くなる。そのまま失速した。
う~ん…まあ、理想のペースではないが、それでも前傾では入っているし、再加速もできるタイプだからそんなに悪くはない。理想を言えばやはり32秒台半ば、後半ぐらいでは入ってほしいというのはあったので遅かったのは悪阻方。ただ内が有利な馬場状態で3~4角ではある程度支配できていた。ここまで甘くなったとなると、それ以外の要素を考えるべきだと思う。直線入りのL2の地点で全く動ける気配がなかったからね。坂の登りでの加速もファルコンSではできていた(L1に入るまでは先頭)わけで、それが敗因とも考えにくい。武豊が言っているように状態面の可能性が高いんじゃないかなと思う。そもそも今日はいつもより二の足が遅かった感じがするし。若干の坂スタートというのはあったにせよ、もうちょっとスピード感をもって入ってくると思っていたので。