2019/02/02
第61回 スワンステークス(GII)出走予定馬展望
日程:2018年10月27日(土)
コース:京都芝外1400m
予想用・出走予定馬一覧
モズアスコット(ルメール騎手想定)
重賞をなかなか勝てずにいたが、安田記念という大一番で悲願を成し遂げたモズアスコットがスワンステークスに出走予定だ。先行策もできれば後ろからの競馬でも、鋭く脚を使える万能型。GI馬となったがまだ重賞は1勝でもある。安土城ステークスで勝ち損ねた舞台だが、今度は取りこぼせないぞ。
58kgの斤量、少し力の要る馬場。この辺がどうか?といえるレベルの馬ではないと思っている。ここは力で何とかしてもらいたい。安田記念の内容からも突き詰めれば高速マイルがベストだとは思うが、これまで戦ってきた相手から考えるとここは取りこぼしてほしくない。
安田記念(GI)1着
東京芝1600m良 16頭5枠10番
1:31.3 45.5-45.8 M
12.2-10.8-11.2-11.3-11.3-11.4-11.4-11.7
前走の安田記念勝ちは9番人気と波乱とも思われたが、その前の安土城Sからの連闘ということが大きい。実際はもうちょっと上の人気で然るべき馬だったと思う。ペースは平均だが中盤が全く淀みないのでタイトな流れ、字面よりも厳しい競馬になったと思う。3~4角でロスなく立ち回れたのはプラスに働いたかなと。
10番枠から五分のスタート、そこから各馬の出方を見ながら中団で進めていく。道中も中団馬群の中目で我慢、3角手前で窮屈になったので下げながら。ここで中団の内のスペースで我慢せざるを得ない展開、内内を立ち回って直線。序盤ではまだ工法に近い位置で進めていたがL2辺りから伸び始めてスワーヴリチャードの後ろから内を突いて2列目に近いところまで。L1で前のスワーヴを交わし、逃げ粘るアエロリットを何とかとらえて勝ち切った。
展開的には嵌った面もあるのは確か。特に感じたのは3角手前で下がったことが結果的に中団の最内という理想的なポジションに収まる要因となったと思う。安田記念は中弛みが全くない展開、コーナーでも速いラップを踏んでいたのでここで我慢できたのはサングレーザーと比較しても恵まれた要素だったと思う。それでもこのタイトなマイルの流れの中でしっかりと最後まで脚を引き出してきたし、基礎スピード面・トップスピードの持続力の両面で素材の高さがないと勝つところまでは難しかっただろうと。1:31.3という走破時計はかなり優秀なのは間違いない。
安土城S(OP)2着
京都芝外1400m良 17頭1枠1番
1:20.7(+0.0) 35.6-33.7 S^2
12.4-11.6-11.6-11.4-11.1-11.0-11.6
2走前の安土城Sでは坂井瑠星が騎乗して外から強引に勝ちに行ったが最後に甘くなった。ペースは1.9でかなりのスロー、L2最速11.0だがL3の4角地点でもかなり速いラップを踏んでいるのでここでロスがあったのは響いたと思う。
1番枠から出負けして後方からの競馬、序盤で促して内のスペースを押し上げようとするが詰まってしまって後方。そこから外に切り替えて外からじわっと押し上げつつ中団ぐらいで3角へ。3~4角では前が大きく外に広がっている中で少し仕掛けを待ちつつ、4角で促して外々を回して直線。序盤でしぶとく伸びてきて好位列まで、L1でさらにもうひと伸び欲しかったが自身の内のダイメイフジに最後は伸び負けして2着までだった。
あれだけロスの多い競馬でとなると京都外回りでは基本的には難しかったと思う。ダイメイフジは中団馬群の中目、こちらはさらに外々を押し上げようとしていたからね。それでもこれだけ長く脚を使えたし、この路線ではTS持続力の高さは流石、という感じ。本来はもうちょっと流れて良さが出る馬だとは思うが、こうやってスローになったとしてもトップスピード面で高いレベルのものをみせられたのは収穫だったと思う。賞金を積めなかったのは正直かなり痛かったが(結果的には出られたけど)。
マイラーズC(GII)2着
京都芝外1600m良 14頭6枠9番
1:31.5(+0.2) 45.8-45.5 M
12.2-10.7-11.0-11.9-11.4-11.2-11.2-11.7
マイラーズC2着も強い内容だったと思う。負けはしたが、ペースは平均、L4から11.4と速いラップを踏んでいる。それに前半3Fは33.9と速く、これにある程度先行して流れに乗っていたこの馬としてもちょっと前半は突いていきすぎた感はある。それでも粘ったからかなりこの時点で強いなとは感じていた。
9番枠からまずまずのスタート、そこから二の足良く楽にハナ争い、しかし内の各馬が行くので控えて2列目でというような競馬となる。道中も2列目の外目から進めて3角。3~4角でも番手外の位置で先頭列に取り付くような感じで仕掛けて直線。序盤でロジクライを競り落として堂々先頭、2馬身差ほどリードをとる。しかしL1で少し甘くなったところをうまく立ち回ったサングレーザーに捕えられての2着完敗。
ただ、結果的にここで完璧だったサングレーザーと、苦しい形になったモズアスコットが安田記念では展開的にも逆転したという感じ。こちらはこのレースでは入りの3Fが速かった中でポジションを取りに行き、3角手前の坂の上りでの11.9というところでどうしてもペースを落す必要がある。それでも取り付き気味でルメールは強気だったと思うし、3~4角でも速いラップを踏む中で勝ちに行っての粘り込みは立派。これは2着でも高く評価すべき一戦だと思っている。
スワンステークス2018への展望
不安らしい不安はないんだけど、敢えて言えばやはり1400が微妙に短いのか?と標準には時計がかかる馬場なのがどうかだろう。かなり高いレベルで結果を出してきた安田記念とマイラーズCはマイルというのもあるがいずれも超高速馬場。この辺がどうなるか?。
もう一つは休み明けがどうかぐらいかな。特に前走の安田記念はいまいち人気しなかった要因となる連闘での一戦。もちろんその時は良かったと思うが、反動が来なかったかどうかもカギとなる。直前の動きはしっかりとみて判断したい。
相手関係は正直五分に出て流れに乗れれば正直…という感じ。安土城Sは相手に恵まれながら取りこぼしたが、鞍上がかなり雑に乗ったしあれはあれで仕方ないけど後半型のダイメイフジにロスを少なく立ち回られて最後に伸び負けしたのは仕方ない。今回のメンバー構成で決め手の絶対量を持っているタイプが少ないので、完全に道悪になってハイペースに持ち込まれるとかが無い限りは…それでも阪神カップぐらいやれれば大丈夫かなと思っている。力の要る馬場そのものも実績がないというだけで未知数だしね。大きく崩れる要素はあまり考えにくいけど、去年から大きく間隔を空けたことがないし連闘明けで休み明けという点は覚えておきたい。本命にせざるを得ないか、少し捻るかちょっと悩むけど…連下以下の評価はできない。本命か対抗か…ぐらいかな。
有力馬を多く抱えるノーザンファーム(サンデーレーシングの馬だけで4頭使っている)が、ラジオNIKKEI賞から直行というローテで菊花賞にこの馬を送り込んできたのも、そのポテンシャルに期待してのことだ。
手塚師も相当な手応えを感じているようで、「輸送、距離、GⅠ。とにかく初めてのことだらけでマイナスしかない」と前置きしながら「それを覆すだけのポテンシャルも感じている」と断言。勝てる、と言える状況ではないが、勝っても全く不思議には思わない、関係者達は皆そのような心情でレースを見守るようだ。なお、ルメールはこの馬を選んでいる。