競馬をやって何が悪い。〜予想は敗因分析から〜

菊花賞の出走予定馬展望が中心!今週あの人気馬はなぜ負けたのか? ラップとレース映像をリンクさせた詳細な敗因分析から競馬の真髄に迫る。 敗因分析できれば次買うべき馬が解る。競馬予想は回顧から始まる。

AJCC2018 出走予定馬:ミッキースワロー

time 2018/01/16

日程:2018年1月21日(日)
第59回 アメリカジョッキークラブカップ(GII) 中山芝外2200m
予想用・出走予定馬一覧

明け4歳世代からは昨年中山2200mのセントライト記念で鮮やかに皐月賞馬を撃破したミッキースワローがアメリカジョッキークラブカップに出走予定だ。空前のド不良馬場となった菊花賞でも一瞬良い脚を使ったが最後は無念の失速、6着に甘んじた。2018年最初のレースは縁起のいい中山の2200、ここであの鋭い末脚を引き出し再度GI馬を撃破となるか。

この馬の場合、まだ正直怪しい面はある。AJCCの傾向的に見ても瞬間の切れ味を活かす追込み馬はなかなか差し込みにくい。特に今年の中山は例年通りに力の要る馬場になっているので、土曜で急に軽い馬場になれば別だが、タフな馬場でロンスパで削がれると?というところ。後はどの程度力をつけてきているかをここで測りたいかな。

●セントライト記念(GII) 1着 15頭3枠5番
中山芝外2200m良 2:12.7 61.8-58.1 S^4
12.3 – 11.1 – 12.4 – 13.1 – 12.9 – 12.8 – 12.1 – 12.0 – 11.7 – 11.3 – 11.0

まずはこの馬のベストバウト、セントライト記念から振り返る。この時は良馬場とはいえ雨の影響があったはずだが実際はかなりの高速状態だったのが一つと、当日芝のレースはほとんどがL1最速戦だったというかなり特殊な状況だった。このレースも3.7で超々スローなんだが仕掛けどころが遅く、L1最速が結果論だとしても、L3の段階で11.7なので仕掛けが遅いのは間違いない。騎手の意識が上がってこなかったその中で直線での鋭さを引き出せた、という感覚。

5番枠から五分には出てそこから追走しながら中団馬群の中に入っていく。道中も促しながら1~2角でじわっと押し上げ好位列の中まで入っていく。向こう正面では外にアルアイン、という理想的な位置取りで3角。3~4角でもアルアインの内で仕掛けを待つ、4角で先に動いたアルアインの後ろを突いて3列目で直線。序盤で先に抜け出すアルアインの後ろから接近、L1で1馬身差を捕えて交わしての完勝だった。

とにかく切れた。L1が11.0、それも坂の上りでアルアインが大きく落としていない中でスパッと切れていると。この馬は10秒台は確定、10.8~10.9とみていいと思うしこの切れ味をラストに求められた、というのは大きいかなと。この馬の最大の武器はこれで、瞬間的なトップスピードの質はかなり高いレベルにある。ただし、あくまで一瞬しかないのでそれをどこで使うかが重要だし、展開の影響も受ける。このセントライト記念の場合、馬場が異常だったし騎手の意識が追い付かなかったのでL1最速と仕掛けが非常に遅い流れになった。直線地点で鋭さをMAXに引き出すことができたのが最大の勝因だろう。

●京都新聞杯(GII) 5着 12頭6枠8番
京都芝外2200m良 2:15.3(+0.1) 62.1-60.0 S^2
12.7 – 11.1 – 12.8 – 12.4 – 13.1 – 13.1 – 12.7 – 12.6 – 11.6 – 11.5 – 11.6

まだ春は成長途上だった可能性はあるんだが、一応京都新聞杯を見ておきたい。ペースは2.1でかなりのスロー、ラップ推移的に見ればかなり緩い流れからの3F戦でL2最速だがこれでも単騎逃げが刻んだもので実質は超スロー。速いラップをそこまで踏まなかった。3~4角で詰めているので恐らく2列目以降は早めの仕掛けになっているが、その流れで正攻法で勝負を挑んでの完敗。

8番枠から五分には出て、そこから無理はせずに中団馬群の中で入っていく。1角手前でかなり掛かっていて首を上げながらで、2角過ぎでも少し掛かり気味。向こう正面で好位の外に取り付いて3角。3~4角で外から勝負に行って楽な手ごたえで2列目まで押し上げて直線。序盤でも楽な手ごたえで追い出されてジリジリと伸びて先頭列に近い位置。しかしL1で甘くなって伸び切れずに差し込まれての5着完敗。

正直レースレベル的には微妙なところだったと思うが、3~4角で外から勝ちに行くのは苦しい展開ではあったと思う。その流れで外から勝ちに行って要所でいい脚を使えていてL1は甘くなった、というところからも使える脚はそんなに長くないなと。というよりはトップギアにいれてからは甘くなる、という印象。これがどこまで成長できるか、というところで変わってくるかも。

●菊花賞(GI) 6着 18頭6枠12番
京都芝外3000m不 3:19.7(+0.8) 64.1-68.8-66.0 H^2
13.2 – 12.6 – 12.0 – 13.1 – 13.2 – 13.5 – 14.5 – 14.3 – 13.5 – 13.0 – 13.1 – 12.9 – 13.4 – 12.7 – 13.9

菊花賞は参考にしづらい面もあるが、個人的にはここでもこの馬の良いところと悪いところが出ていたとは思う。ペースはかなりのハイ、というバランス。中盤は息が入っているが後半のポテンシャル戦…というか消耗戦なのはどうしようもないところ。それでも一応L3-2では加速ラップを踏んでいて位、レース全体の本仕掛けはここだったとは思う。L1では大きく減速しているのでその前に脚を使って踏ん張れるかどうかが最後の最後に問われている。

12番枠からやや出負け、そこから無理はせずに中団の外目ぐらいで進めていく。スタンド前では掛かりながらは同じ、ダンビュライトの後ろで壁を作りたいがアルアインが邪魔で入れず、1列下げてアルアインの後ろで壁を確保する。向こう正面でもアルアインの後ろを通して3角へ。3~4角ではアルアインの後ろからじわっと進出、4角で外に出してクリンチャーの後ろから追いだしを待ちつつ直線入りで仕掛ける。序盤で2列目からしぶとく伸びて先頭列に並びかけてくる。しかしL1で甘くなって最後は先頭列から脱落、下がってしまった。

ここでも馬場の差はあるんだが追い出されるまでは良い手ごたえで、そこから追いだされて一瞬良い脚を使うんだがL1で甘くなった。ここまで馬場が悪いと仕方がない面はあるし参考にはしづらいのだが、この馬の良さである追い出されてからいい脚を使え、悪い部分である減速してからの甘さは見せたのかなと。

●2018AJCCに向けての展望

今回ポイントになるのはマイネルミラノがいるという点。これはゴールドアクターもそこまで良い材料とは思わないが、この馬はもっと微妙になる。どうしても早仕掛け、コーナーで分散しながらの競馬になるのでそこで脚を使う形になった時に最後まで踏ん張れるかどうか。これまでのこの馬のパターンを見ても恐らく2段階加速はできるが本仕掛けはゴール手前まで取っておきたいタイプだろう。スローでも縦長になりやすい中山2200m、ミラノがそのうえで3角で仕掛けてくれば後ろにいる馬は相当早い仕掛けを要求されるだろう。今の時計がかかる馬場でそういう形になってしまうと3角以降押し上げるところで脚を使わされてしまってこの馬の最大の武器であるトップスピードの質を高める、というのは難しいんじゃないかなと。展開的にはどうしたってミラノがいる以上ミラノの仕掛けをベースに考えるべきなので、そうなると好ましくない展開になると思う。菊花賞でも悪くは無かったので即消す、というのはリスクがあるとは思うが、個人的には消してもいいかなと思える条件ではあると。ただし、この馬は馬場が読みにくいときに本仕掛けが遅れれば怖い馬なので、例えば土曜日に芝が急に高速化(この時期はコース替わりのタイミングでもない限りめったにないが)とかになれば面白い。その辺で残してはおくが、基本的にはミラノがいるケースでは狙いたくない一頭かな。

何悪。分析note2023



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