2019/02/02
第15回 ヴィクトリアマイル(GI)出走予定馬展望
日程:2020年5月17日(日)
コース:東京芝1600m
予想用・出走予定馬一覧
アーモンドアイ(ルメール騎手想定)
昨年秋の天皇賞秋では圧倒的なパフォーマンスを見せたアーモンドアイがヴィクトリアマイルに出走予定だ。前走の有馬記念では1番人気を裏切る9着完敗。得意の東京に戻って牝馬限定戦と負けられない状況、女傑復権の一戦となるか。
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天皇賞秋の圧倒的なパフォーマンスを見ても後半特化の競馬になれば現役で抜けていると思っている。有馬記念の負けは結局のところタフな馬場で基礎スピードとポテンシャルを求められる完全有酸素運動だったことが大きいだろうと。この馬は高速馬場で後半に速いラップを求められたほうが良いのは間違いない。後は東京マイルだとペースが上がって、高いレベルで対応できるかどうかだろう。安田記念の負けパターンはどうしても考えないといけないからね。
天皇賞秋(GI)1着
東京芝2000m良 16頭1枠2番
1:56.2 59.0-57.2 S^2
12.8 – 11.4 – 11.5 – 11.6 – 11.7 – 11.6 – 11.3 – 11.1 – 11.3 – 11.9
2走前の天皇賞秋から振り返りたい。超超高速馬場の東京2000mで圧巻のパフォーマンス。見ての通りで1.8とかなりのスロー、後半はL3最速でも11.1なので超高速馬場を考えるとそこまで速くない。L4で11.3、L5から11.6というようにロングスプリントの競馬となった中で一頭だけ次元が違った。
2番枠からまずまずのスタートを切ってそこからアエロリットを行かせて2列目の内で我慢、しかし2角で強引にサートゥルナーリアが入ってきたのでこれを行かせて3列目内ポケットで進める。道中も折り合って進め、3~4角でも最短距離を通しながら仕掛けを待って直線。序盤で3列目から進路を最内に取るとL2でぐんと伸びて一気に1馬身半ほどリードを取る。そのままL1まで突き放し続けて3馬身差完勝。
これがアーモンドアイのベストバウトなのは間違いないと思っている。相手がダノンプレミアム、アエロリット。これらが割と完璧に乗ってきた中で圧倒的なロングスプリントの性能の違いを見せてきた。L3の地点でもそれなりに伸びてきたが、L2で前が少し減速してもこちらは維持する形で突き抜けたし、L1まで11.9と大きく落とさずに踏ん張って後続が甘くなった中で突き放してきたからね。もちろん3~4角で完璧に立ち回ったし、L4の4角地点で11.3と速いラップを踏むロングスプリントの形なのでそこはかなりかみ合ったと思う。が、それでも3馬身差は圧倒的だったかな。ロングスプリントでこの馬の右に出る馬は現役ではいないし、リスグラシューとの比較で見てもこのパターンなら恐らくアーモンドアイのほうが上だと思っている。
有馬記念(GI)9着
中山芝内2500m良 16頭5枠9番
2:32.3(+1.8) 58.5-61.6 H^3
6.9 – 11.1 – 11.4 – 11.4 – 11.5 – 12.2 – 12.3 – 12.1 – 11.7 – 12.3 – 13.4 – 12.2 – 12.0
前走の有馬記念に関しては、正直力負けではなく適性面の問題だったと思う。アーモンドアイが後半の無酸素運動・準無酸素運動状態での現役最強なら、リスグラシューは有酸素運動状態での現役最強、という違いだったと。この有馬記念はアエロリットがぶっ飛ばしたので超ハイではあるが、それでも番手の位置でも60秒前後なので実質的にもややハイ~平均ぐらい。その中で後半も速いラップを要求されないポテンシャル勝負。前半のパワー型基礎スピード、後半のポテンシャルの両面を求められていて、無酸素運動が必要のない競馬になってしまったと。
9番枠から五分のスタートから二の足良く楽に進め、そこから無理せずコントロールして中団と悪くない入り方。道中もフィエールマンを意識しながらコントロール、スタンド前ではやや掛かり気味になってフィエールマンを交わしながら少し押し上げヴェロックスの後ろ。向こう正面ではさらにヴェロックスの外に出してじわっとポジションを上げコントロールしつつ3角へ。3~4角で中団外から好位の外、アルアインを目標に動いて2列目まで来る。ただ序盤でさらに外から動いてきたサートゥルナーリア、上手く外に誘導したリスグラシューらに呑まれると、後は甘く下がって9着完敗。
ここはアーモンドアイの良さが出なかったという感じで良いと思うし、この負け方で大きく評価を落とす必要はない。少なくとも高速府中とは一線を画す競馬だったのは間違いないわけで、リスグラシューにとってのホームでアーモンドアイにとってはアウェイの条件だったというだけの話。2500mでも全体でタイトに流れていたうえで後半もロンスパで3~4角外から勝ちに行ってどうこう、という馬ではない。基本的に後半勝負のほうが良いのは間違いないし、ましてここまで消耗する形になると準無酸素運動状態にすら持って行けなかったと思う。ぐんとくるところが一度もなかったのは3~4角の段階で既に余力もなかったとみるべきかな。本質的には長距離型の馬では断じてないので、その点でこの有馬記念のようなパターンはあまり気にしなくていいと思う。特に最近の日本競馬は細分化されているから適性面で噛み合わないと惨敗するケースも少なく無いからね。
安田記念(GI)3着
東京芝1600m良 16頭7枠14番
1:30.9(+0.0) 45.8-45.1 M
12.2 – 10.9 – 11.4 – 11.3 – 11.2 – 11.1 – 11.2 – 11.6
どちらかというと有馬なんかよりも昨年の安田記念の3着のパターンを警戒したほうが良いかなと。スタートで致命的な不利を受けたのもあるが、流石にトップレベルのマイル戦となるとどうしても前半で苦戦する。位置取り的に苦しくなったときにどこまで差し込めるかだろう。ここは平均だがややスロー寄り、ただ中盤以降アエロリットがロングスプリントの形に持ち込んでいるしL1も11.6と落ち込んでいない。こうなるとある程度前半でいい位置を取れないと難しい、となる。それでも見せてきた後半の決め手は一頭だけ次元が違ったし、ここまで来るとトップスピードの質もないと難しい。トップスピードの質も極上ながらもロングスプリントのギアで最後まで維持できる能力が高い印象で、高速馬場なら常に強いのはこの辺もあると思う。
14番枠から出負けして後方から、さらに外からロジクライがよれてきたのでブレーキして後方からの競馬となってしまう。道中も前がそこまで引っ張らずに平均ペース、こちらは後方馬群の外目から3角とかなり難しい状況。3~4角でもエントシャイデンの後ろから直線で外。序盤でそこから外に誘導してL2の地点で伸び始めるがまだ好位列、L1でしぶとく伸びて最後まで差を詰めてくるがインディチャンプ、アエロリット相手に届かずのクビ、ハナ差での3着。
スタートの不利は正直致命的だったが、それでも一歩目自体は遅かった。マイルでトップレベルでとなるとアーモンドアイの出足ではちょっと不安があるというのは一つ考えておきたいこと。一方で、末脚に関しては暴力的なレベルだったと言って良い。天皇賞とは違ってここでは3~4角でも結構ロスがあった。ロングスプリントなのでそこで脚を使いながらも直線で他とは段違いの末脚を披露していると。直線入りで6馬身ほど、L2で5馬身ぐらいあった差をここで詰めて3馬身ほど、L1でこれをまとめて時計差なしのところまで詰めてきているわけでね。L1ですら11秒前半でまとめているのは間違いないわけで、ロングスプリントができるのも強みだが、その中でもう一段上のトップスピードのギアに入れられるという感じ。そしてその切れ味も非凡だ。正直マイル路線では後半速いラップを連続させ続ければ素材で二枚は違うと思う。後は届く範囲にいられるかどうか。
ヴィクトリアマイル2020への展望
展開と枠順は重要かな…天皇賞秋でも3列目の内から直線最内に切ってぐんと反応しているのでギアチェンジは結構持っていると思う。まああの時はロングスプリントなので4角の段階ではある程度スピードに乗っていたとは思うが。もともとドバイターフがハイペースの中でL2で鋭く伸びてきていたので基礎スピード面の心配はそこまでしていないし、実際安田記念でもあの流れで中団後ろから鋭く伸びてきているので、出し切れればここも当然好勝負だと思う。
後はゲートと相手関係。特に今回はノームコアやプリモシーンがいる。この2頭は昨年ヴィクトリアマイルで強い競馬をしているし、なおかつアエロリットを正攻法で撃破しているメンツとなる。個人的にはかなりハイレベルな一戦だったと思うので、これらに対して圧倒的か?と言われると微妙。この2頭はややハイの中で好位~中団で足を引き出してきた形なので、後半勝負のウエイトが高くなればアーモンドアイのほうが上位かなと。どちらもトップスピードの質で勝負するタイプではないからね。アーモンドアイの良いところはもう一段上のギアを持っているというところ。流れればこの2頭プラスコントラチェックや状態が戻ってくればトロワゼトワル辺りが厄介で、30秒台前半~半ばを走れる馬たちがいる中で、どこまで信頼するか?というところかな。できれば少し外枠のほうが良いと思う。多少のロスなら巻き返せるが、出負けして包まれてスローになると動き出しで遅れて脚を余すリスクがある。信頼度という点で見るなら少し外のほうが…というところ。ゲートに関しては最近スッと出ているけど、あくまで2000~2500での話だからね。対抗ぐらいでとりあえず考えておく。面白い馬は何頭かいるのでもしかしたら連下で2,3着差し損ねを狙うパターンになるかもしれない。
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