2019/02/02
宝塚記念2019のレース回顧・結果
阪神芝内2200m良
2:10.8 60.0-58.9 S^1
12.6 – 11.4 – 11.5 – 12.4 – 12.1 – 11.9 – 12.0 – 11.6 – 11.5 – 11.4 – 12.4
22:00からツイキャスにて宝塚記念回顧LIVE
https://twitcasting.tv/c:nandecas/broadcaster
展開分析・総評
う~ん…まあ言いたいことはあるけど、予想としては貫きすぎたというのが大きいかな。気持ちとしては想定外に近い展開にはなったので、スローでも問題ないリスグラシューを本命にしておいて本当に良かったというのと、もう少し全体の予想の中にスローになってもいいような印の打ち方をすべきだった…融通がないなというのを痛感したのと、音無師は指示を出すと害悪でしかない…ということかな。ただ本命馬が来る来ないは自分にとってGIにおいてはすごく重要なことなので…そこだけはちょっとほっとしている。馬券は最近スランプなだけに、きっかけにしないといけないんだが。妙にカープの好不調とリンクしてしまっているのがなあ。
スティッフェリオがあのスタートでいけないのは音無師が好位で進めろって言ったからだろうなと。逆にあれで競っていける馬が減ってしまったので出負けしたキセキも楽に挽回したうえでスローに落とせたというのはある。これも含めて競馬だけど、キセキに対して競っていく馬が少なくなってしまったのが今の騎手の低レベル下、そして外国人ジョッキーの台頭を許す温床になっているんだと思う。日本人の悪いところは外から来た人、あるいは目上の人間に対しては融通を利かせるけど、明らかに目下の人間に対して自分の意見(正否に関わらず)を押し付ける風習があると思う。今回は丸山を責められん…音無師は調教師としては有能なんだろうけどね…。
展開分析としてはキセキが二の足で苦労気味ながらも楽にハナを取れるような前半のどうぞどうぞ。そしてその緩い流れを察知したレーンとリスグラシューの外からのスーっと先行策。スワーヴもこれをしたかったんだろうと思うがゲートが悪かった。リスグラシューが番手をとった段階で1~2角で落ち着いてそのまま中盤は12秒前後から後半は4F勝負。川田が有馬で甘くなったのを修正して明確にL4からのペースアップというのは、川田はラップ分析面での知識というかある程度意識しているのかなというようなロンスパの仕方だったと思う。ただ、こういったある程度強気の仕掛けができるぐらいに前半に貯金があったというのは確かかな。馬場は土曜の予想の想定の真ん中に近いぐらいだと思っていた(7R2200mの時計は自分の中でちょうどぐらい、標準~稍タフぐらいの馬場)なので、この走破時計は優秀だと思う。
1着12リスグラシュー(レーン)
五分のスタートを切ってそこから様子を見ながら再序盤は無理をせず。ただうちのキセキ・スティッフェリオがペースを落としていたので外からじわっと取りに行って2番手まで上げて1角に入る。コーナーでうまくペースを落としながら逃げるキセキから1馬身ちょっとの差を作って番手で折り合う。3角半ばぐらいからペースアップを始めるキセキに対して軽く促す程度で追走、4角でもまだ仕掛けを待つような感じで半馬身差で直線。序盤で追い出されるとしぶとく伸びてここで半馬身ほど出る。L1では突き放す形となり、3馬身差の完勝。
リスグラシューの場合は今日の宝塚記念の場合、結果を見るとよほどのことがなければある程度どういう展開でも多分勝ち負けはしていたと思う。想定通り平均ペースだったとしたら前にはいなかっただろうがそれでも勝負にはなっていると思う。そのなかで、こちらとしては想定外の展開、キセキがゆったりとスローの流れから、有馬よりもワンテンポ仕掛けを待って4F戦という中で、これを外から勝ちに行ってねじ伏せてきたわけで、スローの4F戦で圧倒してきたと思う。キセキとしてはこれ力の要る馬場でロングスプリントしている感じではあるんだよね。多分11.6-11.5-11.4の区間では完全なる無酸素運動ではなくかといって完全な有酸素運動でポテンシャル勝負とまでは言い切れない。乳酸系、ロングスプリント状態で求められる準無酸素運動という印象。キセキが好走できたのもその辺があると思う。ただ馬場が現実的なのでポテンシャル戦より負担が大きいロングスプリント的な仕掛けで入ったのでL1で明確に減速しているし、結局その地点で有酸素運動的ポテンシャル面が求められるわけで、そこでの突き抜けという点からポテンシャルの高さで最後は勝負を決めた感じ。この宝塚記念はスローロンスパの競馬にはなっていると思うが、その中でも今の馬場でこのラップなら中間的なロングスプリント適性も求められた、L1のポテンシャルと合わせた後半の素材の高さで現役最強クラスであることを証明できたと思う。この馬はトップスピードの質・持続力もいいものを持っているんだけど、こうしてみると後半は分散する競馬のほうがいいね。
2着01キセキ(川田)
後発を切ったものの二の足で苦労してかなり押して押しての主張となる。ただスティッフェリオやアルアインが控えてくれたので驚くほど楽に支配、外からリスグラシューが上げてくるぐらいで前半は無理なく理想的に入っていく。道中もリスグラシューにマークは受けるがつつかれずに自分のリズムで3角まで楽。3~4角でじわっと仕掛けて11秒台半ば、ロングスプリント的な競馬でこの馬の良さを引き出しつつ直線。ただ序盤で甘くなってリスグラシューに半馬身差ほど出られる。ラストは明確にリスグラシューに離されたがそれでも3着のスワーヴとは2馬身差キープしての2着確保。
う~ん…GIで1番人気の逃げ馬、主張するのに苦労している中で普通ならだれかがハナを主張してもいいんだが、それもなくどうぞどうぞしてしまう…というのはさすがに読めなかったかな。まあいける馬がそんなにいなかったしスティッフェリオなんかも音無師があんなことを言っていたのでそこも織り込まないといけなかったかなとは思う。人気の逃げ馬がいるのにここまで緩い入り方になるとは思わなかった。こちらの頭で考えていることと、あちらの頭で考えていることは違う、というのは常に入れておかないといけないからね。そういう意味では音無師というある意味わかりやすい人のコメントは素直に信じるべきか。不正解だろうがそういう競馬をしてくれるってわかるだけでも大きい。
前半でペースをうまくスローに落とし込めたこと、中盤の向こう正面では12秒前後と普通のラップを踏み、3角からの勝負でトップスピードまで入れないものの、力の要る馬場でもロングスプリント的なラップを踏み続けて後続に足を使わせようとする競馬。それでもL1手前で甘くなったことを考えると、やっぱり少しタフな馬場だとポテンシャル区間で少し甘さが出てしまう。有馬もそうだったけど、力の要る馬場での分散の仕方が非常に難しい馬ではあるなと。ジャパンカップのスワーヴとの比較で考えるとパフォーマンス的にはJCのほうが上で、やっぱりベストの条件は高速馬場でロングスプリントに持ち込んでコーナーで11秒前半の速いラップを踏む形になると思う。今回みたいに力の要る馬場だと3~4角でうまく引き上げても直線でポテンシャル面を明確に問われてしまうし速度的についてこれる馬も多くなるからね。大阪杯との比較でみてもポジションを取りきれたことが大きいかな。
しかし、キセキに対して他がもう少し競っていかないのが何故なのかはちょっとわからない。逃げなきゃダメの馬ではないが、包まれると自分のタイミングで仕掛けていけないから苦しくなるのに、もうちょっとそういった姿勢を他が見せないと、とは思うよ。今回はその部分で恵まれたからよかったけど、終わってからもこの条件で1~2番人気で買いたい馬ではないな、とは思う。ベストは高速馬場で高速馬場だとロングスプリント状態に入った時に質も持続力もMAXに持っていける、軽い馬場で速いラップを効率よく踏み続けられる馬なんだと思う。この馬場だと一番前で最短距離で上手く速いラップを踏んでもやっぱりちょっと消耗してしまう。リスグラシューが強かったのは間違いないし、3着以下との比較でみて川田は最高のバランスで進めてくれたと思う。本当に、馬券を買っていたら頼りになるし、そうでなければ厄介な騎手だわ。今日は危ういパターンの中で運もあったし騎手もベストの形に近い競馬をしたと思う。
3着11スワーヴリチャード(M.デムーロ)
出負けしてそこからパンと合図が合って積極的に前目を狙うが、リスグラシューのほうが先に外から上がっていくのでそれを行かせてその後ろから好位外で入っていく。最終的には2列目の外でリスグラシューをマークしながら3角へ。3~4角でも好位の外からだがこのあたりで手が動いて4角では鞭も入ってリスグラシューの後ろから追走。直線入りでじりじりとした伸び、前2頭とはちょっと差がある状況。L1でキセキとの差は気持ち詰めたけどそれでも2馬身差で3着まで。
リスグラシューしたかったけどゲートが良くなかった…という感じだった。出負けした中でそれでもペースが速くなかったのである程度前を取れたし、リスグラシューの外で競馬ができていたというのはBプランとしては悪くない状況だったんじゃないかな(さすがにリスグラシューがあの位置にいることは想定外だったと思う)。ただ3~4角でペースが上がってロングスプリントの状態に入った時に外を回すことでどうしても距離ロスが生じたのはある。この馬自身ロングスプリント適性が高く大阪杯もそういう形で捲って押し切っているのでロングスプリントの適性そのものが高かったのは大きかったかな。仮にあのラップで外からそれより速い脚を要求され、もう一段上のギアを入れないとついていけない馬ならそこで脚を使い果たしてしまうからね。その点でもそういう概念をもって見られると今後の分析でも役に立つなと思う。だから割とロングスプリント適性が高い馬が上位に来た、もう少し消耗して一段下のギアになるポテンシャル部分が求められるという想定の展開とは違う、というのはその辺かな。
スワーヴの評価としては難しいところだが、前半ゆったり目、後半は速いラップをそこまで要求されない力の要る馬場でのロングスプリント、キセキとの比較でみるとジャパンカップよりは詰めてきていると思う。この馬自身の状態面が上がってきたというのはあるかもしれない。ただ、正直この競馬で負けたのであれば基本的にはキセキのほうが上位になってくると思う。キセキはギアの上げ下げがあまりうまいタイプではないと思っているので、有馬みたいに3~4角が急でロングスプリントの競馬に持ち込みにくい条件ならギアの上げ下げのうまさ、2段階加速が問われる形でスワーヴがとりついてすっとというパターンはあると思う。それでもコーナーで速いラップを踏みやすいコースでキセキが自分の競馬をしてくると逆転するのはかなり難しくなったかなと感じる。器用さを活かせる条件で噛み合えばってところかな。現役トップクラスからは1段後退したとみるべき。
4着04アルアイン(北村友)
後発を切ってそこから促して先行争いだが、キセキを行かせてその直後に入り込む北村友一スタイル。道中も2列目の内ポケットでじっと我慢してロスなく。3~4角でペースが上がってロングスプリントに近い流れで2列目ポケット、最短距離でキセキの後ろを通して直線。序盤で追われるが良い反応がなくむしろキセキに離される。L1でも4番手は確保したが…いいところなくの4着完敗。
個人的には本来もうちょっと流れたほうがいいタイプだとは思っていたので、スローになったのは少し嫌だなとは思っていた。ただ大阪杯ではスローで同じように後半のロングスプリント的な競馬、力の要る馬場でそこまで速いラップを問われていない4F戦という部分では近似した流れだったのに、直線で反応できなかったのをどう考えるかだろう。厳密にいうと、大阪杯と違って今回の宝塚記念は中盤地点で12秒前後とある程度では流れていて、ここでポテンシャル面を多少要求されたうえでの4Fのロングスプリントという形にはなる。大阪杯はL5までは明確に緩かったという違いはあるのかなと。全体で流れてくれれば別だったと思うが、広義的には7F戦ともいえる今回の中では長距離的なポテンシャルが案外なかったのかなと。宝塚記念は2200でも前半の基礎スピード面を要求されることが多い反面、スローだとステイヤー型の馬でも通用するぐらいタフなロンスパになる。この宝塚記念でアルアインが伸びなかった原因としては中盤の12秒前後が案外響いているのかなという感じかな。
5着02レイデオロ(ルメール)
後発を切ってキセキの後ろを狙いながらだが少しかかり気味、アルアインを前に入れて3列目で進めていく。道中も3列目の内で我慢しながらアルアインの直後をキープ。3~4角でペースが上がった中でもアルアインの後ろで少し手が動いて追走、4角では完全に手が動いていたが反応なく鞭が入って直線。序盤でそのまま伸びを見せることはなくアルアインとの差も詰まるようなつまらないようなの5着完敗。
う~ん…この展開で全くダメとなるとやっぱり状対面の問題があったと思う。この馬に関しては追切の雰囲気があまり良くは感じられなかったし、ドバイの負け方も逃げた言い訳はできるにせよあまりにも負けすぎだった。条件としては良い状態なら勝負になっていい流れ・乗り方だったと思うが、これで甘くなってしまうあたりがね…。軽い馬場のほうがいいのは確かだけど、有馬記念であの競馬ができていたのでラストに伸びない道理が見当たらない。神戸新聞杯は強かったけど、この馬は関東圏に限定したほうがいいのかなあ。ドバイでダメなのも遠征そのものが苦手な可能性もあるんじゃないかなと思う。馬場とかそういう感じではないような。まあ、今回に関しては状態面が良くなかったとは思っているけど、輸送が絡んでくると少し信頼度を落としたほうがいいかもしれんね。京都記念も3着だったし。そもそも使っている数が少ないとはいえ、東京・中山以外では高いパフォーマンスを見せていないのも事実だからね…。
9着03エタリオウ(横山典)
まずまずのスタートだったが二の足が遅く、かつ各馬が割とコントロールして進めていくので外に誘導しつつと進めていたらやはり後方からの競馬。それでも極端ではなく後方馬群の外目で様子を見ながら。3~4角でも後方馬群の外からじわっと進出、ロングスプリントの流れで中団まで押し上げ、4角でかなり追われているが追走に苦労し下がって直線。序盤でそのままじりじり、L1まで何もできず。
エタリオウってそんなに絶対的な脚をもっているわけではないと思うんだよね。日経賞だってロンスパでそれなりにやれたとはいってもペースが上がる前に押し上げているから。あれで中団外から動いてならいいものを持っているといえたけど、結局そこまでのミルコのアプローチが良かった。宝塚記念は仮にスローになる形でも中盤まで遅いということはめったにない(シップで遅れで訳の分からない展開になったラブリーデイのケースぐらい)。なので前半良い位置を取れなければ中盤以降は流れるので押し上げるポイントがないし、今回もそれなりには押し上げて3角に入った。ただ3~4角でもう一段加速しロングスプリントの状況になった時に外から必死に追走するケースになってしまった。ああなると他がギアを温存できている中でもう一段上のトップギアに入れざるを得なかったと思う。そうなってもこの馬場では速いラップを引き出せないし難しかった。結局素材的には足りない馬で、かみ合って高いパフォーマンスを見せてきたにすぎない。ゲートを解消すれば変わってくると思うけど、根本の素材は決してトップレベルにはないと思うんだけどね。キセキの場合は展開面での不安だったけど、この馬は根本的にゲートを解消してこないとそれを覆す素材面はこれまでも見せてきていないと思う。こういうごまかしタイプの馬は地力勝負になりやすい宝塚記念では通用しないことが多い。
11着07マカヒキ(岩田)
五分のスタートから促しつつ追走するが序盤はあまり行き足がつかず最後方となる。道中も単独の最後方でポツン状態。3~4角でペースアップする流れの中で外に誘導してそのまま最後方列の外で直線。序盤でエタリオウの後ろからあきらめて中をとろうとするが伸びはない。最後まで伸びずの11着ブービー。
はっきり言って6着以下に関しては着順ほどの差はない、細かいところが原因で変わってくるとは思う。マカヒキの場合、宝塚記念でやってはいけないポツンをやっちゃったことがまず第一。ただこれは岩田が好きでポツンしたというよりは、馬が前半入っていけなかったということが大きい。正直ここまで追走で苦労するとは思わなかったが…それと結局ペースが落ち着いたことで後半でロングスプリントの状況になった。そのうえで大阪杯では内でポジションを上げながら入れたのに対し、ここでは外から脚を使って押し上げられない状況。しかもポツンしていた中で、中盤以降はペースも遅くないという中で脚を使って押し上げていくという形。ここまで後半特化の競馬になってしまった段階でノーチャンスだった。ハイペースまで上がってくれればよかったが…まったくかみ合わなかった。まあマカヒキを高く評価していたのも、雨が降って消耗度合いがきつくなればという前提だったし、土曜の段階ではもう少し降るかも?と思っていたがほとんど影響がなかったからね(1.5mmほどだった)。こうなってしかもスローでとなってしまうとね。まあ押していってもあの位置ではどうにもならん。なんでこんなに入るのに苦労したのかはちょっとわからないけど、調整面での問題かな。外厩じゃなく在厩だったし。

