2019/02/02
フェブラリーステークス2019のレース回顧・結果
東京ダ1600m良
1:35.6 48.0-47.6 M
12.4 – 11.5 – 11.9 – 12.2 – 12.2 – 11.6 – 11.4 – 12.4
展開分析・総評
3角までの段階で今年の豊はいつも以上に凄いな、思ってみていたけどこのラップ推移をみて人馬の凄さというのを感じられる競馬になったと思う。芝スタートはやっぱりちょっと良くなかったんだけど、豊がそこも織り込み済みで気にせず押していった。サクセスエナジーが距離を意識して控えたのも大きいとは思うが、あそこで主導権を取り切ってからが流石。3コーナーまでに速度をコントロールすることで、逆に3~4角でそこまで息を入れる必要をなくす。前半速く中盤遅いではなく、前中盤全体でややスロー寄りに持ち込んだ。それによって後ろの馬にとって押し上げるポイントがなくなった。レース全体として武豊の掌の上で転がっていたと思う。この仕掛けを豊がしたということは馬に相当な自信があったということ、と。あの位置のゴールドドリームに早めに仕掛けをすればスペースを与えかねないんだがそれを全く意に介してなかった。いろんな意味で馬を信じて乗れる強さだと思う。それに応えた馬も立派で…いいレースだった。
1着06インティ(武豊)
芝スタートで五分のスタートと決して入りはよくはなかったが主張しきってしっかりと前を取り切る。そこからはペースをじわっと落としつつ、サンライズソアも上げたくないタイプなので上手くコントロールして3角へ。3~4角でも大きく緩めず、後続も押し上げにくい状況を作って4角出口で仕掛けて1馬身差で直線。序盤でくらいつくサンライズソアをあざ笑う出し抜きで一気に3馬身。捌いてL2で伸びてくるゴールドドリームの追撃が焦点となる。最後はゴールドの追撃を受けたがクビ差で押し切った。
ともすれば早仕掛けで差されてという可能性を考えたと思う。もう少し待っても良かったかなとは思っているが、豊は馬を信じて勝負を決める決断を。ただ、4角出口の段階でゴールドも進路をとっていたのであれ以上待っていたら緩い段階で取りつかれて決め手の質でさせあれていた可能性は十分にあったと思う。最後の足色を見ると意外ときわどい戦いだったと思うし、あそこで仕掛けたのは大正解だったという結論かな。直線での鋭い切れ味は圧倒的で、L2の地点で差を詰めることができたのはゴールドだけ。そこから最後の伸びで流石にゴールドのTS持続の手ごわさを感じる追撃だったが、それでも押し切ったのはこの馬の総合的な能力の高さだなと。結構総評の欄で書いちゃってるので。
ただパドックや返し馬の段階では相当入れ込んでいたようだし、今後の課題にはなってくるんじゃないかな。むしろこの気性面でスイッチが入った状況で使った舞台がマイルだったのも良かったかもしれない。2000とかだとコントロールするのも簡単ではなくなるだろうからね。使う距離に合わせて馬のスイッチの切り替えができればいいんだけど、まあそういった調整面が今後は大事かな。総合力が高く、レースメイクが課題になってくるタイプなのでその辺の調整は重要になってくると思う。
それと、勝ったのであまり気にならなかったけど、直線に入ってからずっと左手前で走り切ってるんだよね。ラストもピッチが明らかに落ちているんだが手前を換えなかった。この辺が究極に高いレベルでどうなってくるかかな…。逆に言えばこのあたりの完成度が高くなれば…という感じもある。
2着03ゴールドドリーム(ルメール)
やや出負けだがいつもよりはいいという感じ、無理はせずに中団馬群の中目で進めていく。道中内外をイメージしながら前にスペースを置いて待つ。3~4角で外目に誘導する選択をとり、うまく進路をとって中団。序盤ですぐに2列目を捕えてL2の段階で単独の2番手だがまだ2馬身半ある。これをL1でグンと伸びて一頭だけ追撃、最後は首まで追い詰めたが…という2着惜敗。
東京マイルだとこの馬のトップスピードの質・持続力はやはり大きな武器になる、ということは証明できたと思う。ただし、突き詰めれば前目でレースを支配しコントロールされ、直線の加速でこちらがスピードに乗るまでに一気に出し抜かれてしまうと届かない、そのトップクラスの馬がインティだったということになると思う。
正直相手が強すぎたというよりは、レースメイクの中でインティと武豊が上手く進めすぎて、この馬としては3角に入る段階で詰んでいた、というような感じになってしまう。3~4角で外を選んだ選択は個人的には正しかったと思う。内だと2列目の壁が広がっていて捌くのにてこずったからね。恐らくこの馬としてはあの状況でベストの形でトップスピードに乗ってきたと思うが、それでも届かない状況を豊とインティが作ってしまった、というのが一番わかりやすいのかなと。なので展開次第では十分に逆転の余地はあると思う。ただ、インティは1周コースでも強いからなあ。ゴールドドリームのベストは東京マイルだとは思っているので、その辺を踏まえると、基本的にはインティのほうが優位に立つと思う。
3着02ユラノト(福永)
五分のスタートから無理なく楽に3列目の内を確保、サクセスエナジーの後ろにスペースを置いて進めていく。3~4角で少し緩んだが極端ではない、という中で最短距離を通して3列目内で直線。序盤で中目に誘導していくが前が壁、サンライズの後ろから内を捌ききってジリジリ3列目争い。最後までしぶとくじりじりと伸びて3着を単独で確保した。
う~ん…ここで楽に3着をとってくるまでとは思わなかったかな。まあ結果的にモーニンが来ているぐらいだから、というのはあるんだけどちょっと力関係を見誤ったかな。武蔵野Sが自分の中でどうしても足を引っ張っていて、いまいちだった。根岸Sはどう見てもぱさぱさの力のいるダートで今週はそうでもなかったからある程度速いラップを要求されるだろうと思ったし、実際そうなったけどこれまでで一番の足を使ってきたからね。成長期だったのかなという感じ。冬の重賞戦線で感じるのは追い切り面は重要だね。追い切りが良いなと思った穴馬が今週もほとんど走っているからね…。何も考えずに追い切りで買えば…というケースが少なくない。ちゃんと見て判断したいね。馬としては成長期にあると判断していいと思うし、いろんな競馬に対応できるようになってきたので今後は1800も視野に入れていいんじゃないかな。
4着08モーニン(和田)
好発を切って無理はせずに楽に好位の中目を確保する。道中もそのまま流れに乗ってサンライズの後ろでスペースを確保、3~4角でも仕掛けを待ちつつサンライズの後ろで3列目直線。序盤でそこから追い出されるが前のサンライズがそんなに伸びないなか少し窮屈でも外から捌く。L2では3着争い横一線からL1で内のユラノトに前に出られ、外から菜七子のコパノキッキングに追撃を許すも4着は死守。
スタートが良かったし、あそこから好位中目を確保して3~4角で極端に緩まなかったから流れとしては理想的な入り方にはなったかな。ただフェブラリーSを勝ったころならあそこからでもしっかりと加速して伸びてきたと思うんだけど、ここでインティの出し抜きに抵抗できる加速力を引き出せないのが今のモーニンかな。理想を言えばもうちょっとペースが上がってほしかったと思う。まあそれでもこのレベルでそれなりにはやれているからね。
5着11コパノキッキング(藤田菜)
やや出負け、芝スタートでそこまで行き脚が付かずに後方に下がる。道中も最後方まで下がって流れには乗れず、先に外からノンコノユメが上がっていくがその流れでも我慢して3角。3~4角で若干は緩んだが特に大きな変化がない中で我慢、4角でサンライズノヴァが動いたその後ろを通しながらスピードに乗せて直線で外。序盤ですぐに伸びてきてL2地点では外から一頭だけ伸びてくる。L1でどこまでやれるか?というところで流石の差し込みは見せたが届かなかった。
いいところもあり、悪いところもあり、初めてのGI挑戦としては形にはなっていたんじゃないかな。良かったのは3~4角での進路のイメージかな。サンライズノヴァが動いていく後ろでしっかりとスピードに乗せつつそこまで外を通さない。そのままの勢いで直線で大外なのでスピードの乗せ方としてはロスを小さくしつつしっかりと、という競馬はできていたと思う。追い込みで必要なことはできていたと思うし、このあたりは豊やノリといったところの研究ができていると思う。菜七子は動き出しのイメージは良いと思うんだよね…。府中や新潟で来るイメージだけど、余力がある段階での動き方は普通にうまい。
ただ、やっぱり突き詰めれば直線までで何もできなかったのが敗因としては大きいと思う。もちろんマイルが微妙な距離なのは確かだけど、やっぱりこの流れを考えると前半で不用意に下げすぎたのはある。まあ下げてからの競馬はよかったが、あの隊列を見る余裕があれば、豊や田辺が引き上げる可能性は低いし、落ち着けば3~4角でそこまで緩急も生まれない。そうなると結局ある程度の位置にいないと直線で前が加速する中では届かないからね。勝つことに拘るのであれば、やはり序盤のポジション取りとレース全体のイメージを持てないと簡単ではないのかなと思う。馬自体は最後まで伸び続けていたが、位置取りはともかく脚を出し切る形はできているので、通したところを考慮に入れても少なくともゴールドドリームとは少し差がある。根岸Sの内容を踏まえても、もう少し前半の基礎スピードを問われたほうが良いんじゃないかな。1400は良いと思っていたがマイルはちょっと長いかも、というのはその辺もあった。
6着10サンライズソア(田辺)
好発を切って押して先行策、内からインティが来たのでそれを行かせて番手でコントロールと、ほぼ理想的な入り方。そのままインティの作る流れに乗って自身もそれを利用してレースをうまく支配。3~4角でも仕掛けを待って出口で押して直線。しかしここからがいまいちで一気にインティに離され、L1では飲み込まれた。
田辺はレース前に酷評しておくとちゃんと乗ってくれるのかな…。自分が想定する展開の中でサンライズソア・インティにとっては最高に良かったと思っている。インティを行かせたのは選択肢としては最高で、インティがハナを切ってこちらが番手でつつかなければペースとしてはサンライズソアにとっては最高の展開。正直に言えば、4角の段階でインティ、ゴールド、サンライズで決まると思っていたぐらいには上手く乗ってくれたと思う。
が、馬に不満。もちろんL2最速11.4は流石に未知数なのでここで離されるのは仕方がない。ただしL3の段階ですでに脚色で明らかに差があった。正直言ってこの馬に求めていたのはここでの加速性能なわけで、実際軽い馬場でも速度的に11秒半ばぐらいまでは対応できていた。L3の地点ではインティには多少離されても2列目を離すぐらいの足を引き出してくれると思っていただけに、ここで反応できなかった要因が何なのか?というところになる。馬場もピークに比べれば軽くなっていたし、実際ユラノトレベルでも35.5とある程度の足を使えている。まあ、ユラノトは成長している可能性があるのでともかく、モーニンにこの展開で上がりで見劣ってしまうようでは難しい。そういう馬ではなかったはず。-18kgという大幅馬体現の影響があったと考えざるを得ないかな。
7着07サンライズノヴァ(戸崎)
やや出負け、そこから進路を外に誘導しながらといつもの競馬。先にノンコが動いたのでそれを行かせながら3~4角で外から動いていって直線。序盤で伸びたかったが外のコパノキッキングのほうが切れて、ここで一気に交わされる。その後はそれなりに足を使ってくるがなだれ込むだけ。
まあ、根岸Sに比べればましだが、この感じだと馬場もだけど状態落ちなのかな。この馬の脚を使えていない。この馬は加速性能はあまりないけどしっかりとスピードに乗ってくれば長く脚を使える馬だからね。それすらいまいちだったとなると状態面かな、としか。今後はもっと明確に渋ったときに狙いたい。
10着14オメガパフューム(M.デムーロ)
出負けしたが押してリカバーしつつ中団の外。前半から前がコントロールする中で中団とある程度良い位置をとって3角ではじわっと外から追走、ゴールドドリームの後ろから直線に入ってくる。ただ直線序盤からもう脚色微妙で伸びない。L2でもミルコはあきらめていた感じで最後は流していた。
マイルは忙しい、というのもあるが前中盤でちょうどいいペースで前に運ばれてしまってこちらとしては中弛みで取りつくとかそういったトリッキーな形で押し上げられず、自分で動けずに直線で一気に加速されてしまっては…という感じになったと思う。反応面で足りないと一気に前に離されてしまうからね。こっちがばてたというよりは、この流れで前が一気に離してしまうような展開では難しい。その点でもマイルは忙しかった、自分の競馬ができる距離ではなかったかな。噛み合えばと思ったが展開も悪かった、という感じ。