2019/02/02
有馬記念2018のレース回顧
中山芝内2500m稍
2:32.2 60.8-60.3 M
6.8 – 11.6 – 11.8 – 11.9 – 12.2 – 12.8 – 12.6 – 12.2 – 11.6 – 11.8 – 11.8 – 12.2 – 12.9
※各馬随時更新予定です
展開分析・総評
川田が思い切ってのレースメイクをしてきて、前半から流れた中でパワー型の基礎スピードはやはり問われたと。ミッキーの位置で少し離れていたがそれでも平均~ややスロー程度だと思う。後半はキセキが早めの仕掛けを自分でしていったことでL5最速と最近の有馬記念らしくない完全なポテンシャル戦。前半のパワー型基礎スピード+後半のポテンシャルが要求された。
正直言ってミッキーロケットはかなり期待してみていたので、最後はレイデオロらに差されたときは残念だったが悔いはなかった。マーフィーも90点ぐらいかな。自分の予想としては仕方ない。敢えて言えば序盤で評価していたブラストワンピースを結局高く評価しきれない辺り、ギャンブラーとしての資質が足りないんだなと。成長過程にある馬をいかに見つけられるかが来年の課題かな…。怖いと思いつつ信じることができなかったからね。ただこの展開でレイデオロとブラストの両方が来てしまうと予想としては難しかった…ってのが正直なところ。
1着08ブラストワンピース(池添)
五分には出て、そこから促して積極的なポジショニング、そこから各馬の出方を見て抑えつつ、最終的には中団の外目ぐらいでレースの流れに乗っていく。スタンド前でもサウンズオブアースの後ろで折り合わせて外目を追走。向こう正面でも中団の外目だがじっと動かず、仕掛けを待ちながら3角手前ぐらいから外に出してサウンズを交わしながら4角で楽な手ごたえでミッキーロケットのいる2列目を射程圏に捕えて直線。序盤でキセキは粘っていたがミッキーロケット・オジュウの2列目に並びかけてくる。L1の坂の上りでしぶとく伸びてミッキー、さらにキセキを交わして外から食い込んでくるレイデオロの追撃をクビだけ振り切り見事に戴冠。
まあ、もちろん高く評価していた一頭ではあるんだが、正直に言えば雨が降って馬場が悪化、前半からパワー型基礎スピードを要求されてどうなの?っていう不安を払拭してくるとは思わなかった、というのが率直な感想ではある。菊花賞はトリッキーすぎて全く参考外とはいえ、基本的には後半型の競馬で良さが出ていたので、この雨でブラストやレイデオロには厳しい形になるかなと思いきや…という感覚で、このレースは結果的にみてもこの展開でこれだと当てるのは難しかった。この馬の位置なら一応スローバランスではあったと思うし、その中で外々から正攻法でポテンシャルを引き出す形になってここまでやれたのだから、手放しで称賛しないといけないかな。
小器用な脚も本来そこそこ持っている馬だし、菊花賞みたいに直線だけの競馬、10.7と極端な切れ味勝負ではともかくだが、毎日杯みたいに内からスッとって競馬もできる。ダービーを見てもTS持続力も高いはず。そして力の要る馬場でパワー型の基礎スピード・ポテンシャルの両面が問われて非常に高いレベルで結果を出してきた。今のこの馬なら菊花賞のような極端な競馬でなければ、ある程度何でも高いレベルで対応してくるんじゃないかな。しかし強かった。外したけど、気持ちのいい走りを見せてくれたかな。池添が外人ジョッキーGI連勝をストップしたのも良かったと思う。
2着12レイデオロ(ルメール)
五分のスタート、そこから様子を見ながら少し促して好位を意識しつつ、最終的には下げて中団外でブラストワンピースを見ながらの競馬となる。道中も中団の外目で進めながらブラストをマークするような感じで進めて1~2角。向こう正面でも中団外で進めていくが前も大きく緩めない中でなかなか動けず3角へ。3角以降はキセキが引き上げて外から動かざるを得ない状況、手がかなり動いてブラストの後ろを追走して手ごたえ悪く中団のまま。序盤で前がまだ粘っていてジリジリとした伸びで3列目。L1で前が下がり、前のブラストとの差もクビ差まで詰めて意地も見せたが2着まで。
う~ん…いや、強かったと思う。正直に言って、レイデオロが飛ぶならこのパターンになると思ってた。全体である程度流れて後半特化にならなかったし、キセキが3角で引き上げたので外から動く形はどうしてもロスが大きくなる。そこまで速いラップではなかったし、この馬としては5~6Fで分散する競馬では甘くなり続けていた。相手関係も強敵が揃っていたわけで、正直に言ってレースを生で見ていて4角で危ういなと思っていた。それを覆すL1までの差し込み、ポテンシャルの高さを証明されたわけで、参りましたの一言しか出てこない。
まあ、もちろん適性は別にして地力はやはり最上位だったわけで、ある程度展開が噛み合わなくても上位争いはできるとは思っていたけど、想定する展開の中でも結構悪い部類だったからね。この流れでミッキーロケットを差すのは簡単ではなかったと思うんだよなあ。これまでのこの馬の弱点ともいえる部分を補ってきたのは大きいかな。この競馬でも強かったわけだし、弱点らしい弱点はもうなくなってしまったかな。極端な競馬はともかく、トップスピード持続力が非凡だしポテンシャルもブラストには敗れながらもL1まで詰め寄った。斤量差もあったからね。正直参った。この1,2着がこの展開で普通に強かったら仕方ないと割り切るしかないかな…。今回の有馬は結構自信があったんだけどなぁ。
3着15シュヴァルグラン(ボウマン)
好発を切ってそこからある程度促しつつも下げて中団というような感じでポジションはあまりいいところを取れなかった。ただ結果的にそこそこ流れた中でレイデオロを見る位置で入ってと悪くないポジションでスタンド前を通過していく。向こう正面でもレイデオロやサトノダイヤモンドを意識できる位置で中目を通す。3~4角でレイデオロらが動いていく中で内から追い出されつつ狭いところを通す。序盤で中団馬群の中を捌いてジリジリ、L1でばてた馬たちを交わして最後は3着を確保。
結果論だけど、このペースで前目だったらこの馬としてはちょっとしんどかったと思う。ただ結果としてあの位置につけてレイデオロらが外から動いていく中で中目を通してコースロスを小さくできたし、完全なポテンシャル戦で後半ある程度スピードに乗った状態で各馬が3~4角を回していたのもこの馬としては進路をとりやすかった要因かなと。あそこで勝ちに行った1,2着馬と比べるとちょっと恵まれた面はあると思う。
ただ。それを差し引いてもL1の伸びは目立ったし、もちろん上位2頭は1枚上だとしてもミッキーロケットやキセキとの比較でL1は余裕を持って差し切ってきた。この辺りはポテンシャル面でも流石、昨年の有馬は出し切れなかった面があったしそう考えるとこういう流れで出し切れればやっぱり最上位で通用する馬やね。
4着11ミッキーロケット(マーフィー)
まずまずのスタートを切って二の足も良いが先行勢の様子を見ながら、キセキを行かせて番手の外につける感じ。スタンド前ではある程度はなれずに進めていたが、途中でキセキからは少し離れた位置の番手でレースを進めていく。3~4角でも離れた2列目の外で進めてキセキのロンスパに合わせて動かざるを得ない形に。そのまま4角で仕掛けて直線。序盤でしぶとく脚を使って粘ってキセキとの差を詰めてくる。L1で外差しに交わされて、キセキを交わすところまでの4着完敗だった。
う~ん…まあ騎乗的には90点、という感じで同時に和田ならどう乗っていたかなという感じはあるかな。敢えて注文するならやはり向こう正面までにキセキに少し離されすぎたと思う。これで離れた番手になってしまうと3角以降キセキがペースを引き上げてくるのは間違いない、その中で離れた2列目だと後ろも確実に早く動いてしまう。その中で前よりもブラストやレイデオロら集団に近いポジションになったわけで、この辺と同じように動かざるを得ない形に。要は本仕掛けを待てなかった。こっちも後ろと同じように3~4角でキセキの早仕掛けで速いラップを要求されちゃったからね。これがキセキにぴったりとつけていたらレイデオロやブラストの仕掛けをワンテンポ待って進められたと思う。後半型ではなく前半の基礎スピードをもうちょっと強気についていってほしかった。
まあ、展開面でキセキがこうやって上げきってしまうとL2でもう一段という競馬になりづらかったのもあるし、前目から進めてどこまでやれたかは分からないけどね。宝塚のイメージを考えるとやっぱり3~4角で脚を使って良くというのではなくキセキの後ろで差のない位置で入ってほしかったかな。それ以外は完璧な騎乗だったと思う。馬も期待はしたんだけど、やっぱり途中で息を入れて後半型の形になりかけたので、そうなるとやっぱり後半のポテンシャルの差が出てしまったかなぁ…。今のこの馬ならやれるかとも思ったが、レイデオロ・ブラストのどちらもがこのタフな競馬でやれてしまったのが個人的には一番痛かったかな…。ミッキーロケットも頑張っているんだと思う。
5着14キセキ(川田)
五分には出ていたが、二の足が遅くて促しながらスピードに乗るのが遅く、3角までゆったりとスピードに乗せながら3角で外から内に切り込んでハナを取り切る形を選択。スタンド前でペースを落せずに60.8と平均で入る。1角以降の上りでペースダウンをしながらそれでもここでリードを作る。そのまま向こう正面でもじわっと引き上げて3角手前で最速ラップを踏む。そのまま3~4角でも11秒台をキープし続けてリードを保って2馬身半差ほどで直線。L2の地点ではまだそこまで差を詰めさせなかったがL1で失速、最後は甘くなって外差しに屈しての5着完敗。
4戦目の反動というよりは、前半もペースが速く、中盤の仕掛けもやはり強気すぎたというバランスの問題に感じるかな。やってきたパフォーマンスは高いと思うんだけど、やっぱりこれだけ力の要る馬場で後半の5F戦というのはかなりタイトだし、しかも最速が向こう正面にはなる、3~4角では減速気味ではある。これをもうワンテンポ待てたら外からの押し上げもちょっと難しくなるし、もうちょっと面白かったかもしれない。超高速馬場だと8Fに分散しても更にもう一段加速、というのができるし実際秋天もJCもロンスパ気味だが最速はL3.今回は完全に後半のポテンシャル戦にしてしまった感じ。その辺りも響いたような気がする。
ただ川田としては勝つために信じて乗っていた節はあるのでそこは仕方ないかな。馬自体は力の要る馬場でもこれだけやれれば上等だが、JCや秋天との比較で考えると本質的にみても高速馬場の方が合っている感じはするんだよね。ポテンシャルだけでなくそこからもう一段の加速が欲しいタイプに感じる。まあ十分な5着だけど、つきつめると馬場とペースのバランスになるかな。ペースが速かったうえにL5最速でというのはしんどかった。思ったよりは馬場もこなせたけど、ベストは高速馬場だという認識かな、今は。
6着06サトノダイヤモンド(アヴドゥラ)
五分のスタートからじわっと促しつつだが中団の中目ぐらいで進めていく形になる。道中も中団の中目でクリンチャーの後ろぐらいで1~2角。そこから向こう正面でも中団の中目で促しつつ追走。3~4角で外からブラストやレイデオロが仕掛けていく中でちょうど中団馬群のうち目で上手く脚を残して直線。序盤で仕掛けられて一瞬伸びかけるが内への進路を諦めて外に。L1でそこからもそれなりにはなだれ込んだがそれでも6着まで。
う~ん、いいころのサトノダイヤモンドならL1で伸びてきたと思うんだけどね…。シュヴァルグランが来ているわけで、力関係を考えてもポテンシャル戦で見劣る馬ではなかったからね。現状その辺りが劣化してしまったからこその物足りなさだと思う。ラストランでの復活はなかったけど、最後まで復活するんじゃないか?と思わせるだけのパフォーマンスを維持できたのは最低限良かったかな。第二の人生で頑張ってほしい。
8着03モズカッチャン(M.デムーロ)
まずまずのスタートを切って積極的に先行策をとっていく。最終的には控えて好位3列目の中目で進めて1~2角。向こう正面でオジュウの後ろと少しギャンブル的に進めて3角。3~4角でもオジュウの後ろから4角出口でミッキーの後ろをとる。序盤で追い出されたが少し内にもたれてそこから外に誘導。L1での伸びはイマイチで3列目から差はつめられず、8着完敗。
途中までの進め方は良かったと思うんだが、結局後半の5Fのロンスパになり切ってしまってここでもう一段の脚を引き出せなかったかなと思う。直線で少し内に持たれたのも影響したとは思うがそこからは進路も取れていたからね。ある程度対応してきたし、ミルコとしても勝負に出た結果だから仕方がない。結果として展開が向かなかったという感じはあるかな。ポテンシャルは持っているけどここまで本仕掛けが早いと使い切ってしまう感じ。京都記念みたいにL2でもう一段という競馬ならというところだが、キセキの早仕掛けがあれだけ前でやられてしまうと、3角以降の追走で脚を使い切ってしまったという感じかな。
9着01オジュウチョウサン(武豊)
まずまずのスタートを切って思い切って先手を主張、ハナに出てから外の各馬の出方を見ながら最終的に3~4角で控えて2列目のポケットでまずは入っていく。道中もキセキの後ろだが結構楽に追走してコントロールしているぐらい、平均ペースの流れに乗って2列目内で1~2角を通過。ここで少しキセキに離されるが無理せず2列目の内で進めていく。3角手前でキセキがペースを引き上げていったので3~4角で最内からキセキとの間を詰めながら直線。序盤で2馬身半ほどの差をミッキーロケットとともにジリッと詰めてくるが、L1の坂の上りで流石に甘くなって最後は9着完敗。
正直に言えば、意外とやれたなという感想になる。3~4角まではキセキとの差もむしろ少し詰めていたと思うし、最後もばたっとは止まってないからね。力の要る馬場になって質的な面で基礎スピードを問われなかったと思うし、このペースで楽についていけたのは大きかった。最後もそれなりにポテンシャルを見せたし平地でもこれだけやれたのなら素晴らしいと思う。たださすがに今後も平地重賞でどうか?となると色々かみ合ってこないとかな。ステイヤーズSとかダイヤモンドSぐらいならチャンスもあるかもしれないが。
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