2019/02/02
第158回 天皇賞秋(GI)出走予定馬展望
日程:2018年10月28日(日)
コース:東京芝2000m
予想用・出走予定馬一覧
キセキ(川田騎手確定)
昨年の菊花賞では泥んこ馬場の中で一頭ばてずに突き抜けたキセキが天皇賞秋に出走予定だ。ただその反動もあったか、それ以降は物足りない競馬。それでも前哨戦の毎日王冠では先行して3着と新たな一面を見せ、復調を示した。奇跡ではなく、必然の復活を府中で果たしたい。
前走の毎日王冠はあれだけいい位置を取れるとも思わなかったし、このスタンスで来られるとちょっと厄介かな。ステファノス相手にしっかりとねじ伏せ切ったのは評価したい。相手関係はかなり強化されると思うしそう楽ではないだろうが、2000mへの延長で外枠でも上手く先行していければ。
菊花賞(GI)1着
京都芝外3000m不 18頭7枠13番
3:18.9 64.1-68.8-66.0 H^2
13.2-12.6-12.0-13.1-13.2-13.5-14.5-14.3-13.5-13.0-13.1-12.9-13.4-12.7-13.9
振り返るしかないが、ド不良の菊花賞勝ち。正直高速馬場想定の東京2000では問われないと思うが。力の要る馬場で前後半ではハイペース、中盤は緩んだけど、最後まで12秒後半場でで収まっているように極悪馬場の消耗戦。
13番枠から出負けして後方からの競馬はいつも通り。3~4角で少し掛かり気味に押し上げつつ後方の外で進めていく。スタンド前でも後方馬群の中で折り合わせつつ特に動きなく向こう正面。前半と比べると1000で4秒遅くなる中弛み地点で外からじわっと押し上げて中団で3角。3~4角で先にクリンチャーらが動いたところで中団外からじわっと押し上げ、4角ではミッキースワローを目標にしながら好位の外で直線に入ってくる。序盤で3列目から追い出されるが、s気に伸びてきたのはミッキースワロー。しかしL2の途中から優位に立って先頭列付近。L1でしぶとく抜け出しての完勝だった。
評価が難しいが、タフな馬場で消耗、これといって速いラップを要求されない中で最後までばてずに差し込んだ。細かく言えばL3-2で加速していて、ここでの脚はミッキースワローの方が若干良さを見せたが、それをL1の減速地点でしっかりとバテ差して捕え切ったという形で2着以下に対して圧倒する形になった。マラソンレースに近い競馬だと思っているが、その中でパワー型の基礎スピード・ポテンシャルの両面で上回ってきたとみるべきかな。
宝塚記念(GI)8着
阪神芝内2200m稍 16頭8枠16番
2:12.5(+0.9) 59.4-60.2 H^1
12.2-10.8-11.4-12.7-12.3-12.0-11.8-12.1-12.2-11.7-12.4
2走前の宝塚記念では個人的には悪くない条件かなと思っていたんだが伸びきれなかった。菊花賞後のパフォーマンスが物足りないけど反動が残ったままだったのか、それとも適性面か読みにくい。2200でも割と流れてややハイ。前半のパワー型基礎スピード、2200なので当然質的に高いレベルのものを求められたと。
16番枠から接触もあったが出負けして最後方近くからの競馬、そこからリカバーしつつ後方2列目ぐらいで外を回して入っていく。道中も淡々とした流れの中で特に動けず最後方に近い位置。3~4角でも大きく淀みがない中でサトノダイヤモンドが外から動いていくが、こちらは最後方付近でできるだけロスなく中目を通して直線。序盤で後方馬群のうち目を裁いてスペースを確保、そこから徐々に外に誘導しながらだがL1での伸びも特にインパクトはなくなだれ込むだけに終わった。
8着ではあるが、ばてた馬を交わしてきたという程度でワーザーみたいな決定的な伸びは見せられなかったし、外から動いて勝ちに行ったサトノダイヤモンドを交わすところまでも行かなかった。3~4角でもかなり我慢して乗っていたと思うんだけど、その割にはL1減速地点での伸びが物足りなかった。もちろん状態面でまだ戻り切ってないのかなというのも感じたが、レースの中での話だと、やはりポジショニングで苦労して脚を使わされて甘くなった面は否定できないかなと。
毎日王冠(GII)3着
東京芝1800m良 13頭1枠1番
1:44.7(+0.2) 47.3-45.5 S^2
12.8-11.0-11.5-12.0-11.7-11.7-10.9-11.2-11.7
前走の毎日王冠では復調の兆しを見せたともいえるが、内容的には進捗があったものの完敗ではあった。ペースは1.8でかなりのスロー、そこからのL3最速TS持続戦で特化とまでは言わないがかなり後半のTS持続力のウエイトが大きかったと思う。
1番枠から五分には出て、そこから押して押して先行争いに乗っていき2列目から最終的には番手まで持って行く。3~4角でも番手の位置でアエロリットを追走しながら2番手で直線。序盤で1馬身後ろから追い出されるが伸びずに少しアエロリットに離されステファノスの脚色がいい。L2辺りからしぶとく食らいついて、L1ではステルヴィオには交わされるもののステファノスとのたたき合いを制しての3着。
前目をとれたというのは収穫だし、五分にスタートを切ってから二の足が思ったよりも良かったな、というのは感じた。これだけやれればここまで前は無理でも天皇賞秋でも先行策は獲れる可能性が高い。もちろんゲートに関しては出てみないと何とも言えないレベルだが、五分に出られれば。ただし、やはりTS持続は良いものを見せたが、最速地点では少しキレ負けしていたし、ステファノスとの比較でも微妙なところ。相手は休み明けを叩いた方がいいタイプなので、こちらもそれ以上の上昇度を見せられるかどうかだろう。内有利の展開・馬場だったと思うしその中でステルヴィオにはあっさり交わされた。色々踏まえてもそこまで楽観視はできないかな。
天皇賞秋2018への展望
この馬もできればTS持続に寄った競馬が望ましいと思う。一つは前半からペースが上がって基礎スピードを要求されてしまうと外枠からのポジショニングはそこまで楽にできないだろうというのがある。かといってスローでもL2最速で10秒台というような競馬になるとキレ負け、ギアチェンジ負けの可能性が高くなる。3歳夏になるが新潟の2000の信濃川特別で見せたように、後半5Fでトップスピードを持続して弾けたように、後半特化で出し切る形が一番だろう。
相手関係としてみても、ひとまず神戸新聞杯ではTS持続戦でレイデオロに完敗しているので、今回もレイデオロは当然強敵となる。毎日王冠で中距離への適性の幅を見せたのでその点ではいくらか詰めてくるかもだが、それでもレイデオロとの比較でこちらを上位にというのはちょっと難しいかなと感じる。個人的にはレイデオロもここはベストの条件ではないと思っているし、それと比較しても前後半で素材的にみてもそこまで強気に離れない。かといって器用にギアを上げることができるわけでもないし、ゲートも不安定。前走でこなせたといっても、このレベルに入ってしまうと総合的にみて良い材料は少ないかな。面白い馬が多く、TS持続だけブラックムーン、ギアチェンジ面ならサクラアンプルールと他にも怖い穴馬が少なくない中、そこそこ人気する中で狙うのは得策ではないかな。3着ヒモ拾うかどうかのライン。
有力馬を多く抱えるノーザンファーム(サンデーレーシングの馬だけで4頭使っている)が、ラジオNIKKEI賞から直行というローテで菊花賞にこの馬を送り込んできたのも、そのポテンシャルに期待してのことだ。
手塚師も相当な手応えを感じているようで、「輸送、距離、GⅠ。とにかく初めてのことだらけでマイナスしかない」と前置きしながら「それを覆すだけのポテンシャルも感じている」と断言。勝てる、と言える状況ではないが、勝っても全く不思議には思わない、関係者達は皆そのような心情でレースを見守るようだ。なお、ルメールはこの馬を選んでいる。