第158回 天皇賞秋(GI)出走予定馬展望

日程：2018年10月28日(日)
コース：東京芝2000ｍ

予想用・出走予定馬一覧

ダンビュライト（戸崎騎手想定）

今年はアメリカジョッキークラブカップで重賞初制覇を成し遂げたダンビュライトが天皇賞秋に出走予定だ。GIでは物足りない結果が続いているだけに、今回はそこからの脱却ができるかがポイントとなる。鞍上に戸崎を迎え、新味を引き出せるか。

ここ最近のパフォーマンスで考えると、アルアインとの比較でちょっと差が大きくなってきている感はある。厳しい流れの中で良さが出た皐月賞が一番良かったと思うんだが、今はちょっと物足りないかな。

ＡＪＣＣ(GII)１着

中山芝外2200ｍ良 11頭６枠７番
2:13.3 61.3-60.0 S^1
12.8-11.2-12.3-12.5-12.5-12.0-12.2-11.8-11.8-12.1-12.1

今年のＡＪＣＣ勝ちから振り返りたい。ペースは1.3でスロー、そこからの４Ｆ戦という感じ。ただ中盤はあまり緩まずに12秒前後でロンスパ気味かな。基礎スピードも最低限は問われたという感じ。

７番枠からまずまずのスタート、そこからじわっと様子を見ながらハナを窺いつつ、外のマイネルミラノを行かせて番手を確保する。道中も縦長に持ち込んでミラノの逃げからあまり離れず、３番手以下を離して３角に入っていく。３～４角でも引き離しにかかるマイネルミラノを最内で立ち回って追いかけながら１馬身差で直線。序盤でそこからすっと外に出してしぶとく伸びて先頭列。Ｌ１でしっかりと抜け出して２馬身差の完勝。

ここでは後半のポテンシャルでしっかりと伸びてマイネルミラノをきっちりと捕えたし、ミッキースワローの追撃も問題としなかった。ミルコがいいバランスで入っていて、ミラノに対して遠すぎず、しかし３番手以下とのリードをしっかりと保って３～４角で最短距離。ここまで完勝できたのはミルコの腕に依るところが大きい。もちろん馬の方も高いポテンシャルを見せてきたし、あの位置を取れるのが強みではあると。極端なスローではなかったし、前との差もあったので後ろの馬も押し上げるのに脚を使うことになった分、ここまで強い競馬ができたかなと。

オールカマー(GII)３着

中山芝外2200ｍ良 12頭２枠２番
2:11.7(+0.5) 60.5-59.0 S^1
12.6-10.6-12.7-12.3-12.3-11.7-11.8-11.9-11.8-11.5-12.0

ただ、前走のオールカマーでは良いポジションを取れなかったこともあるが完敗の内容だった。ペースは1.5でスロー、そこからの６Ｆのロンスパで後半のポテンシャル戦の割合が高いレースだったといえそうだ。

２番枠からまずまずのスタートではあるが伸びあがるような感じになって下げながら好位から最終的に中団に下げて進めていく。道中も中団内でレイデオロとあんまり変わらないような位置で３角へ。３～４角でも中団の内で我慢をせざるを得ない形、包まれて直線。序盤で何とか内目に進路をとって好位列に並びかけてくる。Ｌ１でしぶとく伸びて何とかエアアンセムは競り落としたが前３頭とは完敗。

最序盤の入り方で難しくなったのもあるし、中団内での競馬になってしまったので後半のポテンシャルに頼った競馬になった。後半ポテンシャル戦で内目から進路を探りながら直線では進路を取れたが、もう少し前半に良い位置が欲しかった。とはいえ、後半のポテンシャル戦とはいえアルアインに対してここまで完敗というのはちょっと意外だったし、ラストはそれなりに来るか？と思ったんだけど、前との差は詰まってこなかった。これは少し気がかりな材料かな。

大阪杯(GI)６着

阪神芝内2000ｍ良 16頭７枠14番
1:58.8(+0.6) 61.1-57.1 S^4
12.8-11.3-12.4-12.4-12.2-11.8-11.2-11.1-11.4-11.6

もう一つ懸念があるのが大阪杯。ここでもアルアインに完敗を喫してしまった。ペースは４秒で超超スロー、この時点でこの馬としては難しい競馬。そこからのＬ３最速でＬ４の地点でも11.2と最速に近くコーナーで速いラップを連続する競馬になった。ＴＳ持続特化で苦しい競馬だったがアルアインとの比較でみてトップスピード戦でここまで完敗というのは痛い材料。

14番枠からやや出負け、促しつつ先行争いに乗っていって番手でまずは入っていく。道中ドスローの流れだがコントロールして番手でキープ。しかし遅すぎるので３角手前で一気にスワーヴが気て、それを行かせてその後ろで２列目。３～４角でも手を動かしながら追走して直線。序盤で２列目から伸びきれずに３列目に下がる。そのままラストまで良いところなく外差しにも屈して掲示板を外す競馬。

単純に上がりでみてアルアインよりも0.5も遅いというのはやっぱり不満が大きい。もともとトップスピード戦は不向きで基礎スピードやポテンシャルで勝負したいというのはあったが、それでもアルアインも同じようなタイプなのにトップスピード戦でここまで明確に差があるとなるとちょっと難しいかな、という感はある。宝塚記念も良い条件だったと思うが伸びなかったし、ここにきて各馬との成長の差を感じるかな。

天皇賞秋2018への展望

チャンスがあるとすればやはり皐月賞のように平均ペースで流れて基礎スピードが要求され、トップスピードの質をそこまで要求されないパターン。あの時点ではアルアインに負けはしたものの内容的には互角レベルだと思っていた。ただし、古馬となって以降はＡＪＣＣはうまく流れを作って完勝したけど、アルアインとの比較でクイーンエリザベス２世Ｃも含めてどんな展開でも見劣ってしまっている。ましてトップスピードの質を要求されやすい天皇賞秋となると…なかなか難しいかな。

今回は逃げる可能性を珍しく音無師がコメントに出している。ミッキーロケットも含めて決め手勝負では分が悪いし、レースを引っ張るつもりがあるのかどうか？というのは一つカギになる。戸崎も逃げると決めればそこそこペースを作るイメージだが、アルアインとの比較で今のこの馬のパフォーマンスだとそれでも分が悪いかな。単騎逃げみたいな感じで展開に恵まれれば良いが、アルアインやスワーヴ辺りにまともについてこられると勝つのは難しいと思う。各馬色々不安材料がある中で恵まれれば、というぐらいの評価にすべきかな。今の段階では３着ヒモでひっかけるかどうかの当落線上にいる。