ドバイワールドカップ(GI)のレース回顧・結果

メイダンＤ2000ｍ良

2:01.385 62.16-59.23（概算） S^2
25.73-24.70-23.46-23.32-24.18

正直ラップタイムを見てさすがに愕然とした。これ本当に合ってるの？って。ただ映像見ても違和感があったんだよなあ、今回のレース。レコードで逃げて完勝、って基本ハイペースで消耗させることが多い。なのでばてた馬から脱落するようなサバイバル戦だと直線の段階でもう差は広がる一方、みんなバラバラで入線ってのが普通なんだが、今回は直線入りでサンダースノーがすっと出し抜くような感じに見えたし、Ｌ１では上位勢もまだ食らいつけていて序盤の手ごたえほどにはそこまで大きな差が出なかった。ラップ推移を見てかなり納得で、これ前後半で日本式に補正しても２秒近いかなりのスローになっていると。だからウエストコーストなんかは終始コントロールしながらの競馬になっていたし、平均ペースで強かったサンダースノーがここで化けたというのも馬場の影響がかなり大きいと思う。UAEダービーでエピカリスを破った時もペースがそこまで上がってない中で結果が出たんだが、今回は特殊すぎる馬場の恩恵を最も受けたんだろうと。ウエストコーストが伸びなかったのはばてたところを食らいつくアメリカンの競馬では難しかった。ラストの２Ｆがハロン平均で12.09だからね。アメリカだと13秒台に入るのが普通だから。

１着サンダースノー

10番枠からまずまずのスタートを切ってそこから押して先行策、内の各馬の出方を見てウエストコーストを制してハナを主張する。道中もペースをコントロールしながら進めていて、番手のウエストコーストが掛かりながらの追走になるのをシメシメという感じでコントロール、前半は遅い。向こう正面でさすがにウエストコーストがそれなりに競りかけてきたのでここでペースアップしながら３角。３～４角でペースを引き上げてここでラップ平均11秒台まで持ち込み一気に引き上げて直線。序盤でさらにもう一段の脚を使ってここで一気に出し抜いて勝負を決める。ただＬ１では後ろの馬にも食らいつかれてＬ２の突き抜け程の突き放し方はできなかった。

結局ペースが遅かったことが一番大きいのと、ペースを遅くして番手外のウエストコーストに対して３～４角で一気に引き上げたことでここで速い脚で追走させて使わせてしまった。アメリカの競馬とは真逆といっていい緩い流れの中で後半のロンスパでうまく脚を使わせることができたし、直線入りでおそらく結構いい脚を使っていると思う。勝因としては基礎スピードでガンガン推し進めたいアメリカンのライバルたちをペースコントロールで彼らの良さを封じ切った、というところだと思う。アルマクトゥームチャレンジＲ２でも平均ペースで強かったが、おそらくこの馬はあんまり厳しい流れは向いてなくて、ゆったり入れたほうがいいんだろうなと。かなり特殊な馬場になっているので、これまでのドバイＷＣの勝ち馬と比べてもアメリカで通用する可能性は低いと思う。条件が極端にそろったという見方で良いんじゃないかなと。

２着ウエストコースト

９番枠からまずまずのスタート、様子を見ながら逃げ馬を行かせたい意識がもろに見えて、外のサンダースノーを行かせて番手で進める。ただこの馬は明らかに行きたがっていてここでコントロールの意識が強くなり見ていてもわかるように向こう正面でも終始ブレーキで３角。３角ではさすがに並びかけていってここで前のサンダースノーも引き上げたのでここからこちらも促していくがかなり速いラップをコーナーで踏んでいてここで追走できず鞭が入って直線。序盤で一気に出し抜かれてしまって苦しい。それでもここからの踏ん張りはさすがで、最後はムブタヒージの追撃をしっかりと封じて２着となんとか貫禄は見せた。

正直この展開だとぶっ飛んでも驚けない、というぐらいの中で底力で何とかしたって感じ。どう見ても前半の基礎スピードでゴリゴリに押していく流れで良さが出ているわけで、アメリカみたいに800通過で45秒とかそういう流れでないと…。今回公式のラップタイムがガチなら800通過が50.43の入りになる。日本式で49.4ぐらいに補正したとしても遅いし、何より高速ダートだったのでこれだとスローバランス。しかも３～４角で一頭分しかないとはいえロスがあった、ここで上げられた。正直よく頑張った２着だと思う。アメリカの本場の基礎スピード消耗戦ならサンダースノーとは違いを見せてくれると思う。ここまで極端に軽いダートだとさすがに難しかったと思うな。

３着ムブタヒージ

５番枠からまずまずのスタートを切って先行争いを演じ、外の２頭を行かせて２列目のポケット。道中も緩い流れの中で２列目ポケットで３角、この馬でも楽に掛かり気味な感じで追走できていた。３角でもサンダースノーの直後を通しながらロスを最小限にしつつ進めて４角でアクションがあって直線。序盤で追い出されてしぶとく前のウエストコーストに食らいついてあわやの場面を演出。前には突き放されたが最後はウエストコーストに首差ぐらいまで食らいついて３着。

まあ昨年のドバイＷＣでもそこそこやれているから驚けないけど、今回に限れば内で完璧に立ち回れたしポンと出てサンダースノーの後ろを通せたというのが大きいのかなと。後半型の競馬でもやれているし、１角までの距離が短くペースがそんなに上がり切りにくいＵＡＥダービーの勝ち馬が１，３着と結果を出しているというのもある程度リンクしている可能性が高いかな。まあこの条件でウエストコーストに負けていてはさすがにアメリカでは苦しいと思うが、それでもびっくり中波乱の立役者の一頭。

６着アウォーディー（武豊）

１番枠からまずまずのスタートを切って外への誘導を狙うが結局は外の各馬が速いので行かせて中団の内。前の馬も結構下がってきたので徐々に下がって後方で向こう正面外に出して３角に入る。３～４角でも後方の中目を通しながらだがなかなかついていけずに４角で鞭が入って直線。序盤でも伸びがいまいちで大外に持ち出してＬ１に入ったところから徐々に伸び始めると最後はそんなに悪くない位置まで盛り返しての６着だった。

最序盤のポジションで外を意識したと思うんだが、もうこのレベルまでくると前々内内でどこまでっていうリスクを背負ってやってほしかったんだけどね。結果的に前目内目がよい展開だっただけに。３～４角でペースが上がってしまっているのでここで外目から追走となるとしんどいし、コーナーワークで押し上げられないからここで置かれたのが響いていたと思う。Ｌ１はそれなりに来ていたのであれがムブタヒージの位置ぐらいで進めていたらもうちょっと上のチャンスはあった。まあ馬場が把握しにくかったと思うし、正直スローバランスなんてのはまず想像できないレースなのでこれに関しては難しかったとは思うんだけどね。異常なレベルの馬場になっているので…８歳馬なので難しいけどこれをきっかけに上昇してくれれば。