2019/02/02
第60回 宝塚記念(GI)出走予定馬展望
日程:2019年6月23日(日)
コース:阪神芝内2200m
予想用・出走予定馬一覧
キセキ(川田騎手想定)
昨年秋の府中で存在感を見せ続けた菊花賞馬キセキが宝塚記念に出走予定だ。今シーズンも大阪杯で2着に入るなど流石の安定感を見せているものの、実は勝利からは昨年の菊花賞以来見放されてしまっている。同期の牡馬クラシックホース勢ぞろい、ライバルたちに真っ向勝負でGI2勝目となるか。
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このキセキに関してはまさにタイムリーで、個人的には後半のロングスプリント能力が高いタイプの一頭になるんじゃないかなと思う。前走の大阪杯はそんな中でスローロンスパでしぶとく粘ってはいたので、後半のポテンシャル戦でもある程度高いレベルではやれたが、ベストはジャパンカップだと思うし超高速馬場で速いラップをトップスピードまでには入れずにロングスプリントできるという認識。宝塚記念では微妙に信用しづらい馬だと思っているが、現時点で結構人気しそう。この馬の取捨が今回の宝塚記念のポイントになりそうな気はする。
ジャパンカップ(GI)2着
東京芝2400m良 14頭5枠8番
2:20.9(+0.3) 59.9-57.2 S^3
12.9 – 10.8 – 12.2 – 12.3 – 11.7 – 11.8 – 11.7 – 11.4 – 11.4 – 11.0 – 11.4 – 12.0
3走前のジャパンカップから振り返るのだが、個人的にはこれが直近でのベストバウトになると思う。超高速東京競馬場でレースを作っていったが、ポイントはやはりペース。59.9で1000mを通過したが、バランス的には2.7で超スロー。なのでこのペースでも実はペースが顕著に遅かったと。そこからの後半は11秒台前半を刻みつつL2最速11.0。2段階加速的だが超高速馬場を考えると11.0はそこまで速いわけではなく、完全なトップスピード勝負ではなくロングスプリント戦だとみて良いんじゃないかなと。
8番枠からまずまずのスタートを切って外から主張、アーモンドアイの前に出てそのままハナを取り切る。道中もアーモンドアイの前でレースをしっかりと作って2馬身ちょっとの差で3角に。そのまま3~4角でペースを引き上げてロングスプリントの展開に持ち込み直線。序盤で1馬身ちょっとの差をキープもL2辺りから外に出してきたアーモンドアイに徐々に差を詰められる。L1は交わされたがそれでも3着スワーヴリチャードには3馬身半差もつけての2着。
超高速府中だと3~4角でもペースが落ちるどころか上がるというケースが多いのだが、このジャパンカップがまさにその展開で、3~4角で川田が積極的に引き上げることで極端なトップスピードの質勝負ではなく分散して速いラップを連続するロングスプリントの展開に持ち込んだ。アーモンドアイに0.3差つけられたが、単純計算で後半5Fを57.5で一番前でまとめてきた。この能力がキセキの一番の武器だと思う。天皇賞秋では2000でちょっと短いかなというところを2400mで噛み合い切った感じかな。超高速馬場で完全な無酸素運動状態にまでは入れないロングスプリントの形で速いラップを維持し続けた競馬で同じくそういう競馬でも強いスワーヴを寄せ付けなかったからね。かなり強かったと思う。ただし、ここでは前半は顕著にスローバランスだったからこそ後半のロングスプリントに持ち込めたという認識は必要だと思う。
有馬記念(GI)5着
中山芝内2500m稍 16頭7枠14番
2:32.8(+0.6) 60.8-60.3 M
6.8 – 11.6 – 11.8 – 11.9 – 12.2 – 12.8 – 12.6 – 12.2 – 11.6 – 11.8 – 11.8 – 12.2 – 12.9
一方で2走前の有馬記念は強気の競馬を同じく展開したのだがL1で甘くなった。JCと明確に違うのが2点、1つはペースがバランス的には平均まで上がっていたこと。もう1つはロングスプリントではなく力のいる馬場で遅めのラップ、後半はL5最速11.6程度で完全なポテンシャル戦となっていること。前後半のバランスが問われたうえで後半はポテンシャル戦。
14番枠からやや出負け、そこから二の足でリカバーしながら内の各馬の様子を見て最終的に外からハナを取り切る。前半はそこそこの流れでレースを展開、1~2角で少し息を入れたが向こう正面下り坂でじわっと差を広げて早めのスパート。3~4角でもリードを広げたかったが徐々に差が詰まって直線。それでも序盤はしぶとく踏ん張って2馬身ちょっとの差はキープ。しかしL1で失速して最後は5着まで下がった。
悪い内容ではないんだけど、ジャパンカップの強さ、大阪杯の踏ん張りを考えると甘くなったのは否めない。L5最速でポテンシャル戦になったのもあるかもしれないが、それだけなら大阪杯で結構踏ん張れているのでそれだけではないはず。恐らく前半の基礎スピード面でちょっとしんどかったのかなという感じはある。この馬はド不良の菊花賞を勝っているのでイメージが掴みづらいところもあるが、あれは正直極端すぎて良くも悪くもさん郊外の所はある。あれを除けば基本的には高速馬場で後半速いラップを連続する形で良さが出ている。また次に触れるが力の要る馬場だった大阪杯でも前半ゆったりから後半に明確に偏ったレースで前目からしぶとくという競馬ができていた。前半のペースは関係していると思うし基礎スピード面をバランス的に問われないほうが良いような印象を受ける。
大阪杯(GI)2着
阪神芝内2000m良 14頭4枠6番
2:01.0(+0.0) 61.3-59.7 S^2
12.6 – 11.1 – 12.7 – 12.7 – 12.2 – 12.4 – 11.8 – 11.4 – 11.6 – 12.5
前走の大阪杯では番手からの競馬となったがそれでもしぶとく粘ってクビ差の2着と頑張った。有馬とはペースが違っていて2000に短縮しながらも61.3と遅くバランス的にも1.6とかなりのスローとなった。この2着で単なる高速馬場巧者ではないことは証明できていると思う。ペースが遅かったこともあってL3最速で11.4と馬場を考えるとそこそこ速いラップを4角で踏んでいて、ここで内目を立ち回れたのも好走した要因ではあると思う。
6番枠から五分には出たがちょっともっさりとした感じ、そこから軽く促しつつ2列目から番手に押し上げて逃げるエポカドーロを行かせて進めていく。道中も番手でペースをスローに支配しながら団子気味で3角。3角以降ペースを引き上げて4角で仕掛けて直線。序盤で外に少し刺さりながらもしぶとく伸びるが先に内からアルアインに抜け出される。L1でこれに必死でくらいついてはいたがクビ差及ばずの2着惜敗。
直線で外にというところで内からするっとアルアインに来られているのでここの差がちょっと響いた感はある。それでも強い競馬をしての2着に変わりはなく、L3最速で一つ外から勝ちに行ってのものだしアルアインとの比較でみるとそこまで差はないといえるんじゃないかな。力のいる馬場でもこうやって前半にしっかりと体力を温存できるスローに持ち込めれば後半仕掛けが強めでL3最速、4F戦となっても最後までしぶとく食らいつけている。やはりバランス的には前後半でスローのほうが良いと思うね。S^2~S^3ぐらいのバランスでスローから早めの仕掛け、というところで結果を出しているしね。
宝塚記念2019への展望
今の段階ではレイデオロよりこちらが人気になるかもしれないぐらいの評価だが、今回の宝塚記念を考えると正直に言えば楽観視はできないと思っている。まずこの馬の適性面での評価として、一番は超高速馬場で求められるロングスプリント能力が非常に高い、という点になる。また、ある程度力のいる馬場でもやれているが、菊花賞も中盤に明確に息が入っていて後方での競馬、前に行った大阪杯にせよ無理をしていないペースだった。基本的に前半に基礎スピードを問われない中で結果を出しているというのがある。宝塚記念はスタートから1角までの距離が長いというのと、スタート地点は下り坂になるので阪神2000と違って明確にペースが上がりやすい傾向。もちろんスローになる可能性もある宝塚記念というレースの傾向上全くのノーマークは不安だが、それでも59秒台の流れから後半は60秒台半ばぐらいとなってくると前半の基礎スピード面で苦労する可能性がかなり高いと思っている。なのでそうなると信頼は置けないし、実際昨年の宝塚記念は崩れているからね。状態面の可能性もあるが、結果を出しているレースのほとんどが前半無理をしていない事実は軽くはない。
特に今回厄介なのがスティッフェリオとクリンチャーの存在。スティッフェリオの音無師が好位で良いといっているので、楽にレースメイクをさせてもらえれば十分チャンスはある。逆にある程度前で引っ張りたいという意識の馬が多くなると前半の入り方が重要。特にクリンチャーが今回は積極策を示唆しているので…。その辺りを最終的に判断したいが、キセキ自体は今のところスローのほうが良いと思う。それと日経賞にせよ有馬記念にせよ、力のいる馬場ではそんなに長くポテンシャルを発揮できる感じではない。あくまで高いレベルでのパフォーマンスを見せられているのは超高速馬場でのロングスプリント能力になると思っているし、秋の天皇賞でもそこでアルアインに優位性を作れていた。前半部分や馬場を考えると、個人的にはアルアイン・レイデオロの2頭の方をキセキより上位に取りたいんだけどね。スローでレースメイクできるのであれば逃げ粘りの警戒は必要だが、予想的に平均~ハイペースに振るなら切っても良いと思っている。
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