2019/02/02
日本ダービー2019のレース回顧・結果
東京芝2400m良
2:22.6 57.8-60.5 H^3
12.7 – 10.7 – 11.4 – 11.4 – 11.6 – 12.0 – 12.3 – 12.4 – 12.2 – 12.0 – 11.9 – 12.0
展開分析・総評
思わず無になったというか、なんてこったというか…。ただこれが競馬ではあるんだよなあとも思わされた。こんな感じでノーザンFの牙城が崩されるとは…。サートゥルの敗因は正直騎乗面にあるとは思っているけど、それでも4着と馬券圏外になったのは騎乗だけの面ではないと思う。時計的に見ると目黒記念は想定通りの時計が出ているのに対して、ダービーは個人的な想定としては21秒台を視野に入れていたのでこの流れで2:22.6という時計そのものは正直物足りない。
逃げたリオンリオンが57.8でこれは字面通り超ハイペース。ただ、これは単騎でのもので離れた番手で進めたロジャーバローズが目視推定で59秒前後というところ。ちなみにロジャーの1400通過がこれも推定で83秒ぐらいなので、後半1000が大体59秒半ばぐらいになるかな。なので、勝ったロジャーバローズはざっくり概算すれば59-24-59.6ぐらいになるのかなと。ほとんど淡々とハロン平均11秒台後半を刻み続けたような感じ。マラソンレースに近い競馬になったが、L1まで落とさなかったから他も最後は甘くなっている。その点は明確にロジャーを褒めないといけないかな。
一方で離れた3列目以降の馬は3~4角で捕まえに行く必要があった。1,2,3,4着の明暗はここだった可能性が高い。いずれにせよ緩いところがなかったので1~4角のコース取りに加えて高い基礎スピード面がないといけなかった。その点で皐月賞上位勢が着順のずれはあるが2,3,4着というのは当然ともいえる。ただ、一番前にロジャーがいたという。
1着01ロジャーバローズ(浜中騎手)
好発を切ってそのまま主張しようとするが、先に外からエメラルファイトが来るのでこの前に出た。たださらに外からリオンリオンが一気に1角で交わしていったので無理はせずに2番手。そこからも鞍上が押さず抑えず、馬なりで上手く単独の2番手を確保し淡々と進めていく。3~4角でも単独の2番手で淡々と進めながら最短距離を通しながらダノンとは2馬身弱の差で直線。序盤でそこから追い出されてまずはリオンリオンを捕える。ただL2で外からダノンキングリーが確実に差を詰めてきてL1では並びかけ交わされたか?というところを何とか踏ん張りアタマ差で大波乱の主役を演じきった。
競馬の面白さ、といいたいね。ここまで皐月賞組が総合力の高さ、完成度の高さを見せてきて、ダービーでも揺るがないと大多数の競馬ファンが思っていたと思うし自分もその例に漏れず。ただ、そのエリートともいえる皐月賞組に対してロジャーバローズがやれるべきこと…淡々と自分のペースを刻み続けて後続の脚がなくなるようなレースを作る。それを浜中が自然体でやりぬいたからこその勝利だと思う。リオンリオンの横山武ほど思い切っても駄目だし、かといってペースを落としても駄目。いかに自然体でレースに挑めるのか?というのが重要なレースだということを改めて痛感した。この競馬をもう一度やれといってもできるもんではないと思うけど、乾坤一擲という言葉を体現したのかなと。京都新聞杯でパフォーマンスを上げていたのは確かだったと思うし、距離延長でもしかしたら馬券圏内ぐらいは?という可能性を感じていた一頭ではあったが、それでも皐月賞組との差は大きいと思っていた。参りました。
角居厩舎でもダークホースの方、というパターンだけど、こういう競馬を見るとまだまだ競馬はノーザンファームの運動会ってわけじゃないよと。こういう牧場さんがどんどん出てきてほしいし、調教師のレベルも上げてもらってチームノーザンにしっかりと対峙してほしいね。馬券的には残念だったけど、競馬の良いところを見せてくれたと思っている。浜中もこういう競馬を府中でできたというのは大きな収穫だと思うし、くすぶっていたけどこれを機に思い切りのいいレースメイク、仕掛けを展開してほしいね。もちろん馬のタイプに合わせて。ロジャーバローズで人事を尽くすという点では最高の騎乗、それに最高の結果が伴ったという感じかな。
2着07ダノンキングリー(戸崎)
五分のスタート、そこからどうするかな?と思っていたが冷静に好位の内に入り込んで折り合いを意識する。道中も好位4列目の内目ぐらいで3強では一番前でしっかりと折り合わせる。3~4角で前が離れている中で最内から3列目に取り付き、そのまま仕掛けてロジャーとの差を詰めて単独の3番手で直線。序盤でそのまま伸びてきて楽にロジャーとの差も詰めてくる。L2では外によれつつも差を詰めてマッチレース、L1で競り落とすか?というところから甘くなって最後はアタマ差から詰め切れなかった。
戸崎最高!って感じで直線半ばでは勝つと思ってみていた。L1で走りのバランスが固くなってピッチが落ちてこの馬自身がしんどくなったのもあるが、レースラップを見るとこのレベルでまとめているロジャーのポテンシャルを褒めるしかないのかな…という感覚。
個人的に3強で明暗を分けた要因は3~4角のコース取りだと思う。このレースを端的に言えばどの地点でもある程度速いラップを踏んでいるということになる。3~4角でこの流れを捕えに行っている3列目以降はここで脚を使っていることになるし、サートゥルがL1で甘くなったのは3~4角のコース取りが最悪だったから、だという認識。逆に言えばそこで完璧に立ち回れるように序盤で入れた段階で、個人的にはサートゥルには9割方勝つだろうと途中から思っていた。流れたのでヴェロックスの方が厄介だなと思っていたが、やはり3角までのポジションは大きかったかな。こういった総合力の高さがこの馬の武器だったし、完璧に戸崎は乗ってくれた。もうダービージョッキーになってくれと思って最後はマジで応援していたんだけど…ここで勝ち切れなかったのはもはや運というしかない。
ロジャーを褒めないといけないし、結果論から言えばもうちょっと前をとっていてもとは思うけど、あの状況でサートゥルやヴェロックスの位置を意識しつつじわっと仕掛けて前を捕えに行けるとなるとあの位置がベストだったと思う。ロジャーが1番人気とかなら別だが、伏兵にあそこまでやられてしまうと難しいね。
個人的には2000までなら総合的にこの馬が世代で一番強いと思っているんだけどね。目に見えない強さと目に見える強さの両面を持っているし、とにかく切れる。今回みたいに消耗戦になったとしても立ち回りの上手さでごまかせるし(ロジャーに完璧に乗られたら捕え切れなかったしベストではないと思う)スローなら切れるし反応できるしゲートもうまいし折り合える。マイルで流れても強いが多分1800~2000がベストのタイプだろう。秋の天皇賞に出ればかなり面白い存在だと思っている…。しかし本当に惜しかった。
3着13ヴェロックス(川田)
五分のスタートを切ってそこから様子を見ながら好位の外目ぐらいでという中、外からリオンが行き切ってカットされたときに少し掛かり気味になったので控えて中団中で前に馬を置く。道中もクラージュゲリエの後ろぐらいで進めて3角へ。3~4角でも中団の中目で我慢をしながら、中目を通して外からくるサートゥルを待って直線。序盤で中団から追い出されるがここでサートゥルに切れ負けして明確に前に出られる。L2ではサートゥルの一列後ろで筆紙にくらいつくがL1でようやく伸びてきて3着争いでサートゥルを制した。
ん~…まあ現実的にはこういう騎乗になってしまうかな。チャンスはあったと思うんだが、リオンリオンが外から内に切ってきてこちらがそれに馬が反応して少し掛かり気味になった。そこで控えたのが個人的には明暗を分けてしまったかなと思う。勝負をするのであればロジャーの位置とまではいわないけど、この流れでもダノンの前をとって進めたかったと思う。3~4角で外から動く各馬に対して中目で待てたのはあるが、L1はそれなりに伸びていたしもうちょっと前半で良い位置を取らないと…という感覚でみていた。前半の基礎スピードを皐月賞で見せた以上これを信頼して進めてほしかったし、エンジンのかかりが良いタイプではないので後半勝負で仕掛けを待つとどうしても反応が遅れる。この競馬ですら外から一気にサートゥルに来られていて、皐月賞よりも悪いパターンになってしまった。最後は差し返しているけど、対サートゥルではなく全体の競馬としてみたときにこの競馬では届かない。
まあ、仕方ないとは思うし実際難しいだろうなと思っていたから△評価だったんだけど、ペースもちょうどよく縦長になったので前目で収まる所もあったと思う。ちょっと掛かったところで意識が下がったのが対ダノンでみれば致命傷だったように感じるね。良い馬なんだけど、ダノンやサートゥルと比較すると総合的な完成度は低い。どちらかというとロジャーバローズみたいな感じの馬だと思うべきかな。ペースは速くても対応できるし3~4角で手ごたえ悪くても直線それ以上に粘る。それを信じた乗り方ができればもうちょっと違ったかもしれない。結果はともかくとして、3~4角でサートゥルの仕掛けを待っているヴェロックス、という状況を見てダノンが勝つと思って自信をもって見ていた。3強の中で戸崎がぶっちぎりで適性と展開に合った競馬をしていたと思う。なので着差ほどの差はないし適性の違いとそれを活かせるかどうか。この馬は菊花賞でも積極的に良い位置を取って3~4角で攻めていけるかどうかやね。良い馬なのは間違いない。
4着06サートゥルナーリア
出負けして後方からの競馬、そこから内をとろうとしたが前が下がってきて結局中団馬群の中で進める形になる。1角では少し力んでいたが向こう正面ではある程度折り合って進んで後方外目で様子を見つつ。3~4角でも馬なりに近い感じで手応え良く、4角で軽く促しながら大外をぶん回して直線。序盤で受けていたヴェロックスを楽にかわして追撃、L2の地点では3番手に上がってここからどこまで伸びるか?というところ、L1でピッチが落ちると最後は伸びを欠きヴェロックスにかわされ4着も死守という結果に。
敗因は総合的にいろいろな面があるが3着を外したのは3~4角でぶん回したこと、になると思っている。レースラップは緩んでいるがこれはリオンリオンのもの。3番手以降は差を詰めているのでこの辺りでも11秒台後半のラップを踏んでいたと思う。そこで大外から動いていく形になり直線入りでさらにもう一段の加速をしてきた。ここで明確に伸びているように余力そのものはあったはずで前半のペースはさほど問題ではなかったと思う。ただ終始よどみない流れの中だとこの馬でもある程度は消耗していたし、3~4角で中弛みが起こっていればあれでも良いが、単騎を各馬が捕まえに行く形になると当然流れも速くなる。その流れに乗って大外からというのはいくら何でも厳しい。皐月賞みたいに3~4角で実はそこまで速くなくてL1最速というパターンならよかったが…。
L1で甘くなったのは距離というよりはそういった無茶な競馬になったことが大きいし、突き詰めれば結局は出負けして前半の間にいい位置を取れなかったことが大きい。この馬の良いところである動き出しの鋭さというのは基本的にはそこで先頭に立って抜け出すというイメージが欲しい。皐月賞ではラップが上がっていく過程で外からそれ以上に加速して一気の反応で直線入りで勝負を決めた。ただL1は思ったよりくらいつかれていたからね。あれでも結構ギリギリの競馬だったと思う。今回は前が捕えにいった流れのL4-3で大外からそれ以上の脚を使う必要があり、フルスロットルにしてしまうと…という感じ。これイメージが難しいけど基礎スピード・ポテンシャルはあるんだが本当に良い脚は一瞬という区分ではあると思う。その一瞬の加速性能が凄いんだけど、これをこうやって中団外から一気にというのは難しいね。出負けが痛かったのは間違いないと思う…できるだけ本仕掛けを前目で遅らせたいタイプだからね。テン乗りはやっぱり難しいよ。力負けではないと思うし、ルメールが乗ってちゃんと出れば有馬記念で狙いたいタイプ。
5着09ニシノデイジー(勝浦)
やや出負けして軽く促しつつも折り合いを意識して無理はせず、ちょうどサートゥルが前に行ってくれたのでそれを目標に折り合いに専念。どうしても掛かり気味になるが全体で流れてくれているのでマシ、中団でサートゥルの内に入って3角。3~4角でも中団の内内で温存して直線。序盤でがっつり空いた内目のスペースを追われてしぶとく伸びてくる。L2でもジリジリと好位列の内からくらいつくと、L1でしぶとく伸びてきて最後はサートゥルとほとんど差のないところまで持ち込んでの5着。
東スポ杯を考えればもちろんこれぐらいは、という競馬。ただ逆に言えばドハマりしても皐月賞上位3頭との差を逆転というところまではいかなかったというところかな。このニシノデイジーが5着というのが基本的にはダービーのレースの性質を表していると思う。結果として単騎で前の馬を捕まえに3番抵抗が3~4角で動いているのでここで外から動いた馬はロスが多いし、内で我慢できた馬は前も進んでいっているのでスペースを確保して最短距離をスムーズに通せた。その分がL1の伸びにつながったというところかな。
6着10クラージュゲリエ(三浦)
五分のスタートからある程度促しつつ好位の中に入っていくという感じ。道中もダノンキングリーの外で進めて折り合いながら良い位置で3角。3~4角で好位の外から進めながら直線。序盤で外から追い出されるがジリジリ。L2の段階ではまだヴェロックス相手にくらいつくもL1で伸びきれず、内のニシノデイジーにも交わされ6着完敗。
皐月賞上位勢との比較で考えれば妥当な決着になったのかなと。上手く乗ったほうだけど3~4角で徐々に外にという形で少しロスがあったしダノンキングリーとの比較でみればその差は響いているとは思う。それでもこの距離で前後半のバランスが問われた中で掲示板付近には入っているし、ニシノデイジーよりは強い競馬をしていると思うけどね。L1で甘くなったのは3~4角の差だと思う。それでも上位とはちょっと差があったかな。
7着14ランフォザローゼス(福永)
やや出負け、そこから様子を見ながら最終的には無理せずヴェロックスの後ろぐらいで進めていく。道中も中団の内に入れて我慢。3~4角でも内目から中目を通しながら直線。序盤で中団馬群の中から内を狙いつつも最終的に中目。L2ではまだ好位列の一角で戦えていたがL1で甘くなってニシノ辺りとは見劣り7着完敗。
ん~まあ位置が悪かったね。青葉賞の感じからももう少しポジションをとらないとという感じ。福永的に着拾いでと思っていたならそれでいいんだけど、勝負しようと思うならやっぱりヴェロックスより前を取れないと難しいね。末脚の絶対量では京成杯のラストドラフト相手でちょっと足りなかったわけで皐月賞上位はもっと上。青葉賞がタイトな流れの中で消耗せずL1まで来ていたのでそこに懸ける競馬が欲しかった。ペースが速くてもいいのでばててはいないけど、後半さほど伸びなかったのは結局その辺かな。この馬の脚は使っているという感じだと思う。無難に乗って無難に終わった感じ。去年のワグネリアンで使い果たしちゃったかな。
18着12アドマイヤジャスタ(M.デムーロ)
出負けして後方からの競馬となってしまう。道中も最後方に近いところで外目。3~4角でも軽く手が動いて直線に入ってきたがミルコもほとんど追ってない。軽く鞭を2~3発ほど打っていたが軽く、最後は追ってない。
-16kgの馬体減、という時点で怪しい雰囲気だったが…。まあ出負けした段階で終戦の展開だったと思うし、その中でミルコも無理はしなかったかな。しかし日曜はアドマイヤにとっては辛い日になってしまったね。目黒のアドマイヤエイカンも何事もなければいいけど。