競馬をやって何が悪い。〜予想は敗因分析から〜

菊花賞の出走予定馬展望が中心!今週あの人気馬はなぜ負けたのか? ラップとレース映像をリンクさせた詳細な敗因分析から競馬の真髄に迫る。 敗因分析できれば次買うべき馬が解る。競馬予想は回顧から始まる。

JBCクラシック 2018 レース回顧・結果:ケイティブレイブ、福永祐一が勇気をもって神騎乗でルメールを止めた!

time 2018/11/04

毎週日曜の22:00からツイキャスでJBCクラシックなど重賞回顧ライブを行います。ラップや騎手など様々な観点から次のレース予想に繋がる回顧をお届けしますので、ぜひお聴きください。ライブ前にコメントで質問、レースの流れで気になったこと等を書き込んでもらえたらありがたいです!

http://twitcasting.tv/c:nandecas

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http://www.keibanande.net

JBCクラシック2018のレース回顧・結果

京都ダ1900m良
1:56.7 49.2-49.9 M
7.1-11.2-11.9-12.9-12.2-11.5-11.8-12.2-12.7-13.2

JBCクラシックの展開分析・総評

いいレースだったな、というのが第一、馬券的にはつまんなかったなが第二かな。ただサンライズソアのルメール強気の仕掛け、そしてそれを外から馬なりで捕まえに行く祐一の姿にちょっと武豊が重なって見えた。ああ、いい競馬してるって。

ケイティブレイブのところで熱く語る予定だけど、馬の適性にマッチして最大限に引き出して、かつ相手を負かしに行く競馬。キレイに立ち回るだけじゃなくて、どこでスイッチを入れるか、どうスイッチを入れるか。結局何を信じるかですよ。それが今日の福永からは最高に感られた。

勝利ジョッキーインタビューでも語っていたけど、勝負なんだから勝ちに行かなきゃダメ。ルメールに勝たせてばかりじゃダメ。その気迫を言うだけじゃダメ。レースで見せる、それをこちらに感じさせて初めて超一流だと思う。今日の福永祐一はまさしく超一流、ダービージョッキーの意地を見たね。もっと自信をもって馬の能力を引き出して職人になってほしい。今日の福永は本当に最高の神騎乗だったと思う。

前置きが長くなったけど、展開的には平均でコントロールされていて、なおかつ3角手前からテイエムジンソクがかかり気味になったこともあって、前も早めに仕掛けてという感じ。流石にこれはルメール的にも少し予想外だったかな。それでもコーナーである程度速いラップを要求される中で外から2頭強い馬が突っ込んできた。L1はかなり消耗している。前半の基礎スピードもある程度求められたが後半のポテンシャルがないと最後まで脚を使えなかったと思う。結局は後半のポテンシャル面が重要だったんじゃないかな。来たのはみんなそんなタイプだし。

1着08ケイティブレイブ(福永)

五分のスタート、促して先行する形を見せるが各馬が競ってくるなかで前は難しいと判断して中団の外目で進めていく選択。道中も中団外で追走しながら前からは少し離れて前半はある程度温存。3角手前からの激流の流れで3~4角ではコーナーで押し上げて捕まえに行く形、馬なりに近い形でスーッと上がってきて2列目で直線。序盤で2馬身半ほどある差をじわっと詰めて1馬身差。L1で粘り込むサンライズソアをきっちりと捕えてオメガパフュームの追撃も3/4馬身差できっちりと封じ切った。

最高の競馬というのは、このケイティブレイブにとって一番の形は後半のポテンシャルを出し切る競馬だと思っていたから。根拠は昨年帝王賞で、あれだけのポテンシャルはまぐれでは出せないから。平均ペースで普通の流れを外からまとめて差し切るのは大井では簡単ではない。それでも外から最後まで伸びて突き抜けている。これを引き出すには前半あまり無理をしないほうがいい。福永的にも過去のコメントから何となく帝王賞のイメージを重要視していた感はあったので、無理せず中団でというのを試したかったと思うが、今回が展開的にも噛み合ったのでそれを選択したのかなというように見えた。

今回は前半もそれなりには流れたし、1900だと前目で流れに乗っていたら微妙に基礎スピード面で無理が生じて終いが甘くなった可能性はあると思う。ただそこでぐっと我慢して中団で進めたことで前半はこの馬としては無理なく入れた。しかし3角手前からの超ロンスパで3~4角で離れた位置から少し外を通して押し上げるというのはロスも小さくなかった。それでもそのロスを気にしなくてもいいぐらいに後半長く脚を使うポテンシャルの高さをこの馬は持っている。余力を持って3角の下りで勢いに乗せてそこでは無駄な動作をせず、馬なりでもスピードに乗せてと武豊を彷彿とさせる押し上げ方。そして最後しんどくなってからの叱咤激励。理想的なペース配分で入って、勝負所でケイティブレイブを信じかつ自身が負担にならないようにスピードに乗っている地点で余計な所作をしない。こんなに上手かったっけ?と思うぐらいに上手かったと思う。個人的に、福永祐一のベスト騎乗はこれで更新されたかな。心情的にはキングヘイローの京都新聞杯、実質的にはエピファネイアの菊花賞。でも全てにおいてこのケイティブレイブのJBCクラシックは上回ってくると思う。これまでで一番最高の騎乗で、何より意地を感じられたのが一番。これだけで今日は30分のツイキャスの時間を使い切ってしまうかもしれないぐらいには見ているこちらが熱くなった。今日は3角で勝ったな、と思えた神騎乗だった。福永祐一最高です、やっぱ伊勢神宮に行ってるだけはある。

馬にも触れないと…この馬はやっぱり後半のポテンシャルが一番の持ち味。長距離で力の要る馬場だと基礎スピードもある程度持っているのでそこで引き上げて脚を使わせることができる。だけど、前走の日本テレビ盃でもスローからの4F戦で圧倒していたし、何より昨年の帝王賞のインパクトは凄い。あれを福永が再現してくれたと思う。オメガパフュームが強かったと思うんだけど、内容的に3角でペースが上がったところで先に動く形になったしね。L1が消耗しているのもあるしかなり頑張ったと思う。前後半の総合でみれば1900なら一番だった。ただ1800だともう少し前半の基礎スピード面が要求されるのであまり前にこだわるとよくないかも。前半貯金を作ってしっかりと後半出し切るイメージが欲しい

2着14オメガパフューム(和田)

やや出負け、外からカットされながらというのもあったがそれでも思ったより前目につけて中団の外で進めていく。道中はうまくケイティブレイブを目標に進められる位置で3角へ。3角手前からペースが上がってスピードに乗っている状況で3~4角ではケイティの後ろを立ち回る。そのまま4角で外に持ち出すがここで少しケイティに置かれて直線。序盤でしぶとく脚を使うがケイティとの差は詰まらず2列目。L1でようやくケイティもばててきたのでジリッと差を詰めてくるのだが決定的なところまでは至らず、2着まで。

ケイティブレイブ比較で考えるとポテンシャルはこの馬も互角以上のものを見せたと思う。ただし、それで前半のリードを覆せるほどではなかったという感じはあるかな。それぐらいケイティブレイブのポテンシャルが高いとは思っていたし、総合的に相手が一枚上だったとみるしかない。ケイティ自身も外から押し上げていて、この馬も4角出口まではほぼその後ろをとっていたからロスもそんなに差はない。まだまだ逆転できる範囲だしこちらは3歳だからね。成長次第で何ともだけど、初めて出し切れる形で負けたのは事実かな。

ただ、前半から二の足も結構いい感じで中団には入れたからね。徐々にだけど完成度は高くなってきているんじゃないかな。今後の成長でどういう馬に変貌していくか楽しみだけど、現時点ではケイティブレイブに基礎スピード面とポテンシャルの合わせ技で見劣り、こちらは後半部分だけならトップレベルにあることは証明できた、という評価で良いのかなと。スウェプトの仔なんだけど、今の段階ではまだステイヤー色が強い印象かな。今後が楽しみで、GI戦線の中心の一頭に加わってくると思う。

3着04サンライズソア(ルメール)

まずまずのスタートから押してハナを主張、外のテーオーエナジーを制してすっと主導権を取り切る。2角過ぎでコントロールしていたが外から掛かり気味にテイエムジンソクが来たのでペースを一気に引き上げて3角へ。3~4角でも最内だが徐々に減速ラップを踏んで直線。序盤でテーオーエナジーとの叩き合いとなるがこれは直線前半で振り切る。しかし今度は真打ケイティブレイブが強襲、さらに連れてオメガパフュームにも差されての3着完敗となった。

内容的には仕掛けが早すぎたのが一つ大きいと思う。前半のペースをコントロールしたことでテイエムジンソクが掛かって競ってきてしまう形に。3角手前、つまりコーナー地点ではなく直線地点で最速ラップを踏む形になってしまった。本来ならもうワンテンポ待って3角の下りで一気に仕掛けたかったと思う。コーナー地点最速だとケイティやオメガといった外からの馬はもっと明確に苦しい形になったと思うんだが、直線地点で最速だと外の馬でもその地点では遠心力が働かないのでそこまで影響はない。し、この馬自身もL1で甘くなっているようにかなりしんどい仕掛けになった。その辺が甘くなった要因にはあると思うし、負けて強しの内容だったと思う。

ただL4地点でも11秒台なのは確かで、ワンテンポ早かったといっても3~4角で最短距離を通せたことは良かったと思う。平安Sの再現に近いところまでは持っていけたんだけど、それでもラップ的にみればワンテンポ早い仕掛けだったと。芝だと坂の上りからの仕掛けで良いと思うんだけど、ダートでそれも良馬場だとやっぱりちょっとしんどいね。

4着09ノンコノユメ(内田博)

出負けして最後方からだがこれはほぼいつものこと。道中も前が平均でコントロールする流れの中で最後方で手が動いて追走に苦労して3角。ただ3角の段階では前もトップスピードから減速している状況、コーナー地点で内目を立ち回りつつロスを減らして4角で上手く大外に誘導。直線で前がすでに失速しているのでぐんぐん伸びる。流石にL1はちょっと甘くなったが4着まで食い込んだ。

ん~…個人的には結構理想的な展開だったと思っている。もちろん完璧に嵌ったわけではなくて、今のノンコノユメだと前半ももうちょっと流れて欲しかったかな。ただ、仕掛けが非常に早かったことで3角の手前、向こう正面終盤が最速。なのでスピードに乗れた状態で3角に入れたことが一つ大きい。それと3~4角では最後方近くで前にスペースもしっかりとあったのでロスを最小限にとどめながら外への誘導ができた。そして極めつけは直線のラップが12.7-13.2と既に前が消耗していたこと。ここでバテ差してくるのがノンコノユメ。3角下りで惰性をつけられてそのままレースの流れとして加速が全く要求されなかったのは大きいと思うね。

ただ、これで3~4角外からのケイティやオメガに対してL1でそこまで差を詰められなかったことを考えると、力関係が逆転した可能性は十分ある。というより、今のこの馬にとって本質的に1900は長いんじゃないかな。ポテンシャルの絶対量を最大限に引き出せる競馬になったのにL1で甘くなったとなると力関係が変わったか、距離かになる。フェブラリーSや根岸Sの復活のパフォーマンスを考えても、今はマイル以下で流れたほうがいいかもしれんね。もっと上位に来ても驚けないだけの展開だったと思うんだけど。

5着07サウンドトゥルー(大野)

やや出負け、無理はせずに後方からの競馬でこの馬のスタンスを貫く。道中も後方で進めて3~4角でも最内にこだわってとにかくタイトに立ち回って中団のうちに押し上げ直線。序盤で馬群を捌いて伸び始める。L1では内からスルスルなだれ込むがノンコノユメの方が伸びが良く5着完敗。

こちらももうちょっとやれてほしい展開だったが、これで差し込み切れなかったことを考えると、ノンコも含めて力関係が変わってきている説がちょっと強くなってきているかもしれない。もう8歳馬だからある程度仕方ないけどね。この馬らしい最後まで脚を残す選択をとったし、3~4角でも速いラップをある程度踏んでいてロスなく進めた選択は良かったと思う。それでもL1の伸びは目立つところまで持ってこれなかったからね。ノンコの方が内容的には良かった。ちょっと評価を下げたほうがいいかもしれんね。

13着12アポロケンタッキー(M.デムーロ)

やや出負けして押していくが二の足もイマイチで後方からの競馬となってしまう。道中も後ろから押して押して、鞭も少し入っていたが動けず3角。3~4角で後方外から動こうとするがペースも上がっている中で動けず後方のまま。直線でも伸びる気配なく、良いところなく惨敗。

直線入りで少し進路を取れなかったところもあるが、そういうレベルではないと思う。そもそもこの馬は結構不安定で、良い時はすっと出て二の足もよくていい位置をとる。そこからポテンシャルもそこそこ持っているので安定して上位争いしてくる。ただ、このレースではそもそも二の足が悪かったし、途中からついていくのも苦労していた。ケイティと違って後ろから後半のポテンシャル勝負だけではどうにもならない馬なので、そうなると難しかったと思う。この馬は蓋を開けてみないとわからないことがあるからなあ。ただ日本テレビ盃でもケイティに完敗だったし、サウンド辺りもさほど高いパフォーマンスとは言えなかったからね。外枠もよくなかったし、いろいろ苦しい条件が揃っていたのかなと。

14着10テイエムジンソク(古川吉)

五分には出たがこの馬としては微妙、様子を見ながら2列目の外ぐらいにはつける。1角辺りからペースが落ちるのに合わせて徐々に掛かり始める。ただそこで特に手を打たず迷っている感じ。途中であきらめてハナを主張するのだがルメールが引くはずもなく中途半端な感じになって超早仕掛けで3角。3~4角でサンライズソアの外を回す羽目になって後半のポテンシャルに依存する競馬に、4角では手ごたえ悪くなって後退、そのまま沈んだ。

ポテンシャル勝負では東海Sで強かったといってもこことは相手が2枚ぐらい違う。3~4角でサンライズソアの位置にいるならまだしも、一つ外から速いラップを踏んで粘り続ける脚は持ってないからね。前半はコントロールされていて、勝負するなら掛かった2角過ぎ~向こう正面で一気に先手を奪うぐらいのつもりで入るべきだったと思う。中途半端に仕掛けたからルメールが抵抗して内に入り切れなかったし、息も入れられなかった。

もう一つ、ある程度全体のペースを引き上げていく手もあったと思う。ただ序盤からそんなに積極的なレースメイクを、という気概を感じなかった。結果的にだがサンライズソアの出方なら思い切ってハナを主張して引き上げて番手、というのも手だったかなと。そうすれば後続の仕掛けの意識ももうちょっと落とせたと思う。というか、自分から本仕掛けのポイントを早めちゃってるわけだし。馬の状態面もよくなかったかなと思っているから、うまく乗れていてどうだったかは分からない。いずれにせよ、この馬の適性を考えると勝負にも行けず、中途半端に難しい競馬に持ち込まざるを得なかった以上、騎手が力不足なのは確かだと思う。

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何悪。分析note2023



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